今回のカーリング日本選手権はソチ五輪出場チームを決める予備選を兼ねており、この大会で4強に残らないと来年のソチ五輪への道が閉ざされてしまうのです。
トリノとバンクーバーの両大会に出場し、日本にカーリングの面白さを広げるのにも一役買った「チーム青森」は4敗目を喫し、事実上ソチ五輪出場の望みがなくなりました。
小野寺(現:小笠原)や林(現:船山)・本橋・目黒らを擁し、トリノ五輪でピークを迎えたチーム青森は光り輝いていました。小野寺と林が抜けた後も、目黒と本橋を中心にしてバンクーバー五輪に出場。日本女子カーリング界を牽引してきた功績は計り知れません。
しかしそんなチーム青森も、日本にカーリングが根付いてくるとジュニア世代からの育成を強化してチームを成長させてきた中部電力や小笠原・船山を中心に設備の充実した北海道銀行、本橋が率いるLS北見などに後れを取るようになって来ました。バンクーバー五輪の後に目黒が引退、本橋が退団することになり、戦力に陰りが見え始めたのも事実です。
日本選手権で3位以下となってからは日本協会の強化指定からも外れてしまい、資金難で選手強化や遠征にも支障が出るようになりました。地元で寄付金も募ったのですが、想定の7割にしか届きませんでした。豊富な資金力を持ち、自治体の支援も手厚い企業チームなどと比較すると、明らかに見劣りする弱い立場になってしまったのです。
今大会では、かつてチーム青森の中心として活躍してきた小笠原や船山、本橋らと戦って敗れたのも時代の趨勢かも知れません。3勝4敗となりソチが絶望となったこの日、主将の青田は「青森に戻って整理したいこともある」と言葉を濁したそうです。すでに引退を口にする選手もいるようで、チーム青森は消滅の危機に直面したと言わざるを得ません。
親会社を持たず、地域でクラブを育成し支援する「青森方式」で強くなって脚光を浴びたチーム青森の終焉の恐れというニュースは、岡山で同じように親会社のない地域密着クラブ運営を続けているファジアーノ岡山や岡山湯郷Belle、岡山シーガルズにとっても他人事ではないのです。
何とかチーム再生と存続に頑張ってほしいものですね。チーム青森が、もう一度「カー娘」と呼ばれ、世界の檜舞台で躍動する姿を見たいと願っています。

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