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伊藤園が、議決権がない代わりに配当を優先的に支払う「無議決権優先株」を発行し、普通株1株につき0.3株の割合で無償で割り当てるという記事。
「優先株の配当は普通株への配当金額の125%とし、普通株の配当の増減に連動する。」
伊藤園の株主(法人を想定します)は、株式の取得価額を普通株と無償で取得する無議決権優先株に配分しなければなりませんが、どういう方法を使うのでしょうか。配当金額に合わせて、「優先株1株=普通株1.25株」とするのかとも考えましたが、それでは支配の対価が反映されません。無議決権株も上場されるそうですから、その株価に基づいて、配分するのが正解なのでしょう(税務の扱いはわかりません)。
株式分割の一種とみなせるので、優先株の割当によって損益は発生しないと思われます(これも税務の扱いはわかりません)。
また、伊藤園の開示としては、1株あたり情報の開示が難しそうです。(単純化すると)当期利益から優先株の取り分の配当を除いた金額を普通株の発行株数で割ったものが普通株の1株あたり利益ですが、このケースでは、優先株の配当は普通株の配当に連動しているので、配当を減らせば減らすほど、優先株の取り分が減って、普通株1株当たりの利益は増えるということになってしまいます。こういうケースについてASBJの適用指針あたりに何か書いてあるのでしょうか。
ところで、会社のプレスリリースでは、無議決権株発行の目的について以下のように述べています。
「資金調達手段の選択肢を広げ、成長機会を的確に捉えて機動的な資金調達を行うことができるよう、予め優先株式の上場市場を作ると共に、既存株主の皆様に新たな投資対象を提供することを目的としております。」
前段は、議決権を増やさないで(=安定株主以外の議決権を有する株主を増やさないで?)資金調達したいということですが、買収防止策という点からみると、少ない資金で会社を支配できるということですから、むしろ買収しやすくなるような気もします。
優先株式の無償割当て及び平成20年4月期配当予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)