アスキーソリューションズ、過年度決算訂正で半期報告書の提出に遅れ
アスキーソリューションズで、売上架空計上などが判明し、過年度決算の訂正が必要となったという記事。
「システム開発の一部案件で顧客の了解を得ないまま1億3600万円の売り上げを計上したほか、同案件の進ちょく遅延で顧客から請求された違約金を特別損失ではなく固定資産に計上するなどしていた。」
過年度決算の一部訂正並びに平成20 年3 月期(第26 期)半期報告書提出遅延に関するお知らせ(PDFファイル)
「(1) 架空売上の計上
平成17 年9月期から平成18 年3月期にかけて、本プロジェクトの開発段階における一部売上につき、最終顧客の検収のない段階で、検収する当事者能力のない当社の直接の売り先であるA社に、検収書の発行を依頼し、この検収書に基づいて、売上計上を行ったものです。
これにより取り消す売上総額は約136 百万円となります。
(2) 違約金損失の未計上
本プロジェクトに関し、その進捗状況が思わしくないことから、最終顧客側B社から違約金の請求を受け、平成18年3月に約60百万円を支払いましたが、その際、その違約金相当金額を、購入予定のあった社内使用ソフトの購入代金に上乗せし、一旦ソフトの卸売り会社に支払い、そこから、当社直接の窓口会社A社を経由し、最終顧客側B社に支払うという処理を行いました。その結果、本来違約金は特別損失として計上されるべきところ固定資産に計上されることとなりました。
(3) 直接の売り先であるA社向け債権残高の回収について
(1)において計上した売上は売掛金の滞留という状態が続いておりましたが、その解消を図る目的で、ソリューション事業部で別途進めていたプロジェクトに関係している別の会社への前渡金名目で、平成18 年11 月に売掛金相当額約147 百万円を一旦支払い、そこからA社に当社の売掛金相当額を支払わせ、A社から当社に売掛金の回収名目で振り込ませると言う偽装を行いました。そのため当社の財務諸表上は売掛金相当額が回収され、代わりに前渡金が計上されることとなりました。」
架空売上のために生じた滞留売掛金を、前渡金名目で相手に支払ったカネから決済させ、売掛金が回収されたように見せかけていたということで、売掛金だけをみていたら、架空売上は発見できなかったかもしれません。当然こんどは前渡金が滞留することになりますが、プロジェクトがいくつもあり、何件もの前渡金支払いがあれば、それらに紛れてしまうことはあり得ます。
「違約金相当金額を、購入予定のあった社内使用ソフトの購入代金に上乗せし、一旦ソフトの卸売り会社に支払い」したということで、たしかに全体像を見れば固定資産の水増しですが、証憑上、外部からの購入と正当な支払があったことになっていれば、発見は難しそうです。
IT関連の新興企業がこんな会社ばかりだと、監査人のなり手がいなくなってしまうでしょう。