LIXILグ、藤森社長らの報酬10〜50%を3カ月減額 ジョウユウ問題で
LIXILグループが、子会社だった独ジョウユウの不正会計問題について、特別調査委員会による調査結果の概要を発表したという記事。
「報告によると、ジョウユウの不正会計は創業者親子によるもので、2008年にまで遡ることがわかった。LIXILグの経営陣らが不正行為を知っていたなどの証拠は見られなかったという。」
これです。
↓
Joyou 問題に関する調査結果について(LIXILグループ)(PDFファイル)
問題の重大性を考えると、非常に内容の薄いものです。結論だけが書かれており、どうしてそうなったのかという経緯は読み取れません。
「社内調査委員会による調査では、Joyou の会計不正について
もっとも批難されるべきは、Joyou グループの創業者である Cai 親子であるという結論が下されました。また、当社の調査により Joyou の不正会計が2008 年にまで遡るという事実が確認されました。具体的には、Joyou の財務書類が偽造されていたことが調査により明らかにされ、更に、Joyou の監査役会に承認されていない融資が存在していました。これらの融資は Joyou の帳簿上記載されていませんでした。これには、Cai Jilin 氏によって Joyou の中国子会社の資産を担保にした極めて金利の高い個人のローンが含まれていました。さらに Cai 親子は、税金の支払を最少化するために、税務申告書において虚偽の収入金額を申告していました。
2 つ目に、これらの広範囲に及ぶ調査の結果、GROHE 又は LIXIL の経営陣が不正行為を知っていた、または意図的に行っていたという証拠は見られなかったという結論が下されました。」
大枠としては、現地の経営者(創業者ファミリー)にだまされたというのは、たぶん間違ってはいないと思いますが、以下のFACTAの記事などを読むと、まだまだ不透明な点が残っているように思われます。また、監査人も、現地の状況が十分把握できていないのに、無限定適正の監査報告書を出したのではないかという疑問も浮かびます。もっとも、子会社の状況がよくわからなくても、とりあえず、損失処理しておけば免責されるということであれば、監査人としては安心ですが...。
怪しすぎるLIXIL「丸損」(FACTA2015年8月号)(記事冒頭のみ)
FACTAの記事によると、LIXILの損失の大きな要因となった巨額債務保証は、当期に入ってからでなく、昨年7月に行われたのだそうです。
「LIXILはグローエ買収を通じて、グローエとジョウユウの不正常な関係をそのまま取り込んでしまった。とはいえ、仮に買収後すぐに詳しく調べていれば損失は半分未満で済んだ可能性がある。ところが昨年7月、ジョウユウの香港子会社が日本の三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクと結んだ
総額3億ドルの融資枠を保証。12月には蔡一族が保有するグローエ・グループ株12.5%を2億500万ユーロ(約226億円)で買い取るなど、自ら傷口を広げた。
3メガの融資に携わった関係者によれば、
銀行に話を持ち込んだのはLIXILだった。さらに、銀行も独自の資産査定を実施したが、「率直に言って中宇衛浴の実態がわからなかった。それでも
融資したのは債務保証があったから」と証言する。
LIXILはメガバンクの審査のプロでも実態がつかめない福建企業への融資を自ら斡旋し、債務保証に同意したのである。「常識では理解不能だ。裏にそうせざるを得ない事情があったと勘ぐられても仕方がないのではないか」。本誌が取材した複数の金融マンはそう口を揃えた。」
この記事の内容が正確だとすると、LIXILは、債務保証による損失を2016年3月期ではなく、前期(2015年3月期)に計上すべきだったのではないでしょうか。なぜ1期遅れの計上となったのか、今回公表された報告書を読んでも、理解できませんでした。
LIXIL陥れた中国「魔窟」(FACTA2015年9月号)(記事冒頭のみ)
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