その後の「傾きマンション」建設会社もデベロッパーも責任放棄のご様子?
あの400億円、一体だれが払うのか
横浜市の傾きマンション(三井不動産レジデンシャルが販売)問題のその後の動きを取り上げた記事。(記事の後半では別のマンションの例にもふれています。)
費用負担も決まっておらず、会計処理もほとんどなされていないようです。
「既存建物の解体を含む工事費用は約300億円、居住者の仮住居や引っ越し費用などの補償金は約100億円が見込まれ、新しいマンションの完成までにかかる
諸経費は合計400億円にのぼるとも言われている。
この巨額を、誰が、どのくらい負担するのか。実はそれについて、売り主の三井不動産、施工した三井住友建設、そして杭打ちを担当した旭化成が、いまだ
激しい「押し付け合い」を繰り広げているのだ。
騒動から1年半も経過したのに、責任の所在がはっきりしない。
耳を疑うような事態だが、そんなことがあり得るのか。本誌は三社に取材を申し込んだ。
「400億円の業者間の負担割合は決まっていません」(三井不動産)
「今の段階ではまだ何も決まっていません。今後建物の解体が始まってその上で杭などの詳細な調査が行われ、各社話し合いで決まっていくという流れになると思います」(三井住友建設)
「何も決まっていません」(旭化成広報)
補償の負担の話し合いが進んでいないことを三社ともはっきり認めた。」
「実際、この3月に発表された三井不動産の決算短信には以下の様な文言がある。
〈レジデンシャル社は、上記合意書に基づく当マンションの建替え費用、建物工事期間中の仮住まい費用等発生費用のすべてについて、施工会社である三井住友建設株式会社並びに杭施工を行った株式会社日立ハイテクノロジーズおよび旭化成建材株式会社に対し、
不法行為責任、瑕疵担保責任等に基づき求償いたします〉
要するに、「すべての責任は三井住友建設と旭化成建材にある」と公言しているに等しい。400億円もの巨額負担になると、業績を大きく左右しかねないだけに、各社なりふり構わぬドロ沼の「責任逃れ」闘争に血道をあげている。」
三井不動産は、顧客に対する債務(建て替え費用の支出義務など)は、顧客に約束済みであり、ほぼ確定しているわけですから、ただちに損失計上すべきでしょう。そのうち、ゼネコンなどに求償できる金額については、偶発利益なので、相手との間で話が決まった時点で計上すればよいと思います。このままでは、ずるずると何らの会計処理も行われずに経過していくことになります。「求償いたします」というのは、会社の願望にすぎません。
少なくとも、顧客に対する債務と、ゼネコンに対する求償債権は、別物なので、貸借対照表上、相殺はできないでしょう。
三井不動産の決算短信(第3四半期)はこちらから。
2017年3月期第3四半期決算 最新決算資料(三井不動産)
三井不動産の決算短信を見ると、「偶発債務」として注記しているようです。支出済みの費用は仮払いとして流動資産に計上しているとのことです。
こちらは別の傾きマンションのニュース。
杭の施工不良、横浜のマンション建て替えを決議(読売)
「同マンションは14年に杭が固い地盤(支持層)に達していないことが判明し、熊谷組と分譲した住友不動産(東京)が
事業者負担での全棟建て替えを提案していた。管理組合などによると、建て替えの総事業費は現時点で約86億円という。
熊谷組は「瑕疵かし相当分は負担するが、
事業者間で負担割合は決まっていない」、住友不動産は「引き続き誠意をもって対応する」と説明している。」