日産、ゴーン被告に退職金など67億円支給せず 前期4億円支払い
日産自動車が有報で役員報酬を開示し、前会長のゴーン氏への報酬も明らかにされたという記事。
「日産自動車(7201.T)は特別背任などの罪で起訴された前会長カルロス・ゴーン被告に
退職慰労金など計約67億円を支払わない方針であることが分かった。また、
前期の報酬総額は16億5200万円で、このうち4億1000万円は支給済みだが、残りは未払いであることも明らかになった。」
「報告書によると、ゴーン被告は退職慰労金として44億4400万円を受け取る権利があったほか、付与していた株価連動型インセンティブ受領権として22億7100万円が残っていたが、同社はいずれも支給しないことを決めた。
2019年3月期のゴーン被告の役員報酬は当初25億4400万円を予定していたが、初めて逮捕された3日後の昨年11月22日付で会長職などを解かれたため、その日以降の報酬を同社での経営の経験を持つ非常勤取締役の報酬相当に減額し、最終的に16億5200万円となった。」
有報を見てみると、ゴーン氏の報酬については以下のように注記されています。
「対象取締役の当社の金銭報酬の年額は、取締役会から付与されていた取締役報酬の配分の決定権限に基づき、
2,544百万円に確定した。これは、賞与を含めた固定報酬である。その後、当社は、
平成30年11月22日付で、同氏を会長職及び代表職から解職した。当該解職を受けて、当社は、平成30年11月23日から当事業年度末日までの期間に対応する報酬を、過去に
当社での経営の経験を有する当社非常勤取締役の報酬相当額に減額した。減額後のゴーン氏の金銭報酬の年額は、
1,647百万円である。当該減額後の金額は、基本年俸の項目に記載している。当該減額後の金額の内訳は、以下のとおりである。
@ 当社から対象取締役に支払われた410百万円。
A 対象取締役に対する
支払いが繰り延べられて、支払われていない1,237百万円。」
ロイター記事でもふれていますが、過年度開示分で支給しないことを決めた分があるそうです。
「当社は、過去に開示されたカルロスゴーン氏の報酬額の一部を、以下のとおり、
同氏に支給しないことを確認した。
@ 平成19年6月20日開催の株主総会の決議に基づくカルロスゴーン氏に対する
退職慰労金の打切り支給は、不支給とする。かかる不支給分は、過去に当社の財務諸表において
固定負債のその他に含めて計上された役員退職慰労金の未払額のうち、
4,444百万円に相当する。
A 過去にカルロスゴーン氏に付与し、
存続していた株価連動型インセンティブ受領権は、すべてキャンセルする。当該権利について、
過去に報酬開示した公正価額の合計は、2,271百万円である。」
これは虚偽記載分(記載が漏れていたとされる分)とは別なのでしょうか。そうだとすると、虚偽記載分の支給・不支給について、なぜふれないのでしょうか。開示として不十分だと思います。
そうではなく、虚偽記載分だとすると、支給しないと決めることができるということは、そもそも法的には支払義務がなかったのではないか、少なくとも、ゴーン氏退任後の2019年3月期末においては支払の蓋然性は全くなかったのではないか、したがって、役員報酬として発生していなかったのではないかという疑問がわいてきます。
PR|
amazonビジネス・経済