関西電力3億2千万円“裏金” 今年3月に出回った告発文書【独占入手】
関西電力3億円裏金受領事件について、今年3月には告発文書が出回っていたという記事。
「今年3月10日の日付が振られた告発文書はいきなりこう始まる。
<このたび、関西電力が
第2の日産にならぬよう、岩根社長に忠言いたします>
カルロス・ゴーン元会長の逮捕で揺れる、日産自動車スキャンダルを引き合いに出している。そして、森山氏が関西電力に提供してきた資金を調達してきたとされる高浜町の建設会社、吉田開発を名指し。
<吉田開発の脱税、森山氏に対する利益供与だけであれば、国税の査察も入り既に解決〜安堵されているやも知れません。以下の大罪があげられます>
<(吉田開発から森山氏に)
利益供与された金が、関西電力の八木会長をはじめとする原子力事業本部、地域共生本部などの
会社幹部に還流されていたこと>と今回の関西電力の大スキャンダルを、ずばり指摘しているのだ。」
「第2の日産」という言葉が出てきたので、日産ゴーン事件との違いを考えてみると、まず、ゴーン事件で大きな金額の不正疑惑は、報酬虚偽記載ですが、ゴーン氏には問題の報酬はまったく支払われていないのに対し、関西電力裏金事件では、20人もの役員が実際に金品を受け取っています。
また、ゴーン事件の特別背任容疑のうち、デリバティブの損失を会社に付け替えたとされる問題については、10年も前に、問題の契約を解消し、会社には損が出ていないのに対し、関西電力の場合は、ごく最近まで(指摘を受けるまで?)、受け取った金品を返していませんでした。
日産ゴーン事件の中東ルートの問題では、検察や会社の主張によれば、中東の販売会社(ゴーン氏の知人の会社)を通じて、ゴーン氏に会社のカネが流れたとされていますが、報道などによれば、販売会社からゴーン氏へ流れたとされる資金の性質は、ゴーン氏ファミリー企業への投融資だったようです。したがって、ゴーン氏ファミリーとのビジネス上の正当な取引といえなくもないのに対し、今回の事件では、関西電力役員側へ渡された金品は完全に贈与を意図したもののようです(少なくとも送った側の認識としては)。ただし、関西電力役員に贈与された金品の原資が、関西電力が発注し支払った工事代金なのかどうかは、未解明のようです(日産ゴーン事件の場合は、検察や検察の主張によれば、日産から出たカネだということははっきりしている)。
以上のように考えると、金額的には、日産ゴーン事件の方が大きいのですが、内容的には、どちらがより悪質であるとは、一概に言えないように思われます。
関電、社内調査と減給処分を取締役会に報告せず(産経)
「関西電力の役員らが高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死去)から多額の金品を受け取っていた問題で、
関電が社内調査の報告書や役員らの報酬減額処分について取締役会に周知していなかったことが28日、分かった。業務を監督する取締役会が軽視されていた実態が浮かび上がり、経営体質が厳しく問われそうだ。」
取締役会に報告されていれば、会計監査人も問題を知ったはずですが(監査手続として、取締役会議事録などを閲覧するため)、報告されていなければ、監査人にも知らされていなかった可能性がありそうです。
「関電は企業統治の考え方として「取締役会等を通じて、取締役の職務執行を監督している」と明言しているが、機能していなかった。会社法は、取締役に職務の執行状況を取締役会へ報告するよう義務付けており、違反したことで損害が生じれば、株主に賠償責任を問われる可能性もある。 企業倫理に詳しい近畿大の中谷常二教授の話 「社員の処分を決定する経営陣が、自分たちの不祥事を取締役会にすら明らかにしていないとなれば、関西電力の
ガバナンス(企業統治)に大きな瑕疵(かし)があると言わざるをえない。公益性の高い電力会社には、ガバナンスを正常化し、積極的に情報開示に取り組む社会的責任がある」」
関電、金品の受領者20人と金額公表へ 近く記者会見(日経)
「関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、関電は29日、受領した役員ら20人の氏名や金額など詳細を可能な限り公表する方針を決めた。」
「金品受領問題は、関電の
社内調査委員会が18年9月に調査報告書をまとめている。」
少なくとも、約1年間は、不正を隠していたことになります。監査人は、前期の内部統制監査をやり直すべきなのでは。
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