(補足:ASBJから、公開草案の日本語訳が6月30日に公表されました。
ASBJ下記ページの末尾です。)
IASBが企業報告の領域における変化を反映した経営者による説明に関する新しいフレームワークについて公開協議
国際会計基準審議会は、経営者による説明を作成する企業のための包括的なフレームワーク案を、2021年5月27日に公表しました。
(これは、
IASBプレスリリースを、ASBJが日本語訳したもの)
「このフレームワーク案は、
IFRS実務記述書第1号「経営者による説明」の大規模な手直しとなる。これは記述的報告における革新を基礎としており、投資者が
企業の長期的な見通しを評価するために必要としている情報(企業の無形の資源及び関係並びに企業に影響を与えるサステナビリティ事項に関する情報など)を
1か所にまとめることを可能にする。
したがって、経営者による説明は、
企業の財務諸表を説明するだけでなく、企業が価値を創出しキャッシュ・フローを生み出す能力(長期を含む)に影響を与える要因についての洞察を投資者に与えるであろう。事業を管理するために使用される情報(業績を監視するために使用される財務及び非財務の指標を含む)に基づくことになる。
このフレームワーク案は、
企業の事業モデル、戦略、資源及び関係、リスク、外部環境並びに財務業績及び財政状態に関する情報についての開示目的を示している。開示目的は、企業が投資者にとって重要性がある情報を識別し提供することを可能にし、規制当局及び監査人がこのフレームワーク案への準拠を評価することを可能にするように設計されている。」
このフレームワーク案でも、経営者による説明の提供が強制ではないという点は従来どおりとのことです。しかし...
「しかし、規制当局がこのフレームワーク案に従って経営者による説明を提供することを企業に要求したり、企業がそうすることを選択したりする可能性がある。当審議会は、企業はこのフレームワーク案を、国内の報告要求事項に沿って、サステナビリティ事項などの特定のトピックを扱うフレームワークと関連させて提供することができるであろうと予想している。」
日本のルールでも、経営者による説明(「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」など)は、金商法なら開示府令、会社法なら事業報告に関するルールとして定められているので、IFRS適用企業も含め、このフレームワーク案による直接の影響はないのでしょう。金商法や会社法の開示ルールに取り込むかどうかは、当局の考え方次第ということになります。
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)との関係は...
「このフレームワーク案についての当審議会の公開協議と並行して、 IFRS財団評議員会は、新しい国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を創設するための提案について作業を行なっている。ISSBが設定することとなる基準は、投資者の情報ニーズを満たすために、このフレームワーク案と組み合わせて使用することのできる要求事項の一例である。」
公開草案は120ページほどあります。翻訳も今後出るかもしれません。
ハンス・フーガーホースト議長が解説した動画(3分ほどのもの)もあります。

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