マネロン対策、日本は実質「不合格」 国際組織が審査
「金融活動作業部会」(FATF)が、日本を実質的に不合格とする報告書を発表したという記事。
「FATFは39の国・地域が加盟し、190以上の国・地域に対してマネロン対策を勧告する。日本の審査は2019年秋に始まり、実質的に不合格の「
重点フォローアップ国」と判断された。今後5年の間にFATFへ対策状況を3回程度報告する必要がある。
FATFの審査は法令の整備状況などの40項目と有効性の11項目をもとに行われた。金融機関が顧客情報や取引の内容などを調査し、調査結果や評価に基づいてリスク低減措置を判断する「
継続的な顧客管理」や、異常取引などを検知する「
取引のモニタリング」を優先的に取り組むべき課題に挙げた。そのほか、法人顧客の事業活動に
支配的な影響力がある個人や法人などの情報収集・保持体制も不十分とした。
初めて審査対象となった暗号資産業者に関しては、不備の認められる事業者に対して迅速かつ強固な対応を行ったものの、
マネロン・テロ資金供与リスクに基づく監督上の措置は改善する必要があると指摘した。」
実質的に誰のカネを動かしているのか把握できるように、きちんと常日頃から顧客の情報収集をしておけということでしょうか。
金融機関は対応しなければならないでしょうから、そのコンサルで、大手監査法人系の仕事は増えるのでしょう。
FATFの報告書や日本政府の対応方針など。
↓
FATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書の公表について(金融庁)
報告書概要の仮訳もあります。例えば、不正会計にも関係がありそうな実質的支配者については...
「37. 日本は、
法人が悪用される可能性についてある程度理解しているが、この
理解は深度を欠いており、
様々な種類の法人に関連する脆弱性についての十分な理解が示されていない。
法的取極めの悪用に関連するリスクについての理解はない。法執行機関の間では、捜査に役立つ基本情報や実質的支配者情報の情報源について、ある程度の理解が不足しているようである。
38. 日本は、金融機関、暗号資産交換業者、及び大半の DNFBPs に実質的支配者情報の収集と検証を求め、公証人が新しく設立される会社の実質的支配者情報をチェックするようにする等、実質的支配者情報を確実に利用可能にするためにいくつかの重要な措置を講じている。しかし、これらの措置はまだ完全には実施されておらず、金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPs による監督や予防的措置の適用に不備があるため(上記の「監督」及び「予防的措置」を参照)、
全ての事案で適切かつ正確な実質的支配者情報が利用できるわけではない。日本が
金融捜査の一環として実質的支配者情報を利用したケースは非常に少なく、ほとんど全ての事案が、前提犯罪の捜査の一環として引き起こされた、単一の法人または法的取極めに関わるものである。これが、
法人が悪用されている方法についての日本の限られた理解によるものなのか、
利用可能な実質的支配者情報の不足によるものなのか、あるいはトレーニング不足等の他の理由によるものなのかは明らかではない。
39.
会社についての基本情報は、株主に関する詳細な情報を含めて、会社自身から入手可能であり、法人登記からも基本的な情報が得られる。しかし、会社が保有する情報を適時に入手できるかどうかは明らかではない。
基本情報の提供を怠った場合の罰則は、一貫して適用されていない。 」
マネロン厳罰化が急務 財務省と警察庁が会議設置、行動計画を確認(産経)
「FATFは、銀行が預金口座を開設した後の取引内容の確認や本人確認といった継続的な顧客管理と、取引先企業の背後にいる
「実質的支配者」の確認や検証が不十分だと指摘した。」
「財務省幹部は重点フォローアップ国の指定を「人間ドックに毎年行く」レベルだと表現し、「精密検査」が必要な観察対象国と異なり「
不合格ではない」と弁明する。」
PR|
amazonビジネス・経済