「「リース会計に関する論点の整理」の公表(企業会計基準委員会)」
企業会計基準委員会
「リース会計に関する論点の整理」の公表
企業会計基準委員会は、「
リース会計に関する論点の整理」を2010年12月27日付で公表しました。
基本的に、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が、2010 年8 月に共同で公表した公開草案「リース」の内容を紹介し、それに基づきさまざまな論点を示しています。企業会計基準委員会独自の提案はないようです。
示されているのは、以下の論点です。
【論点 1】会計モデルと範囲
[論点 1-1]
使用権モデル(借手の会計処理)
[論点 1-2]
履行義務アプローチと
認識中止アプローチ(貸手の会計処理)
[論点 1-3]リースの定義と適用範囲
〈論点 1-3-1〉リースの定義
〈論点 1-3-2〉原資産の売買
〈論点 1-3-3〉無形資産等のリース
〈論点 1-3-4〉賃貸等不動産
〈論点 1-3-5〉サービス要素の区分
[論点 1-4]短期間のリース
【論点 2】借手及び貸手の会計処理
[論点 2-1]借手の会計処理
[論点 2-2]貸手の会計処理
【論点 3】追加条件のあるリースの会計処理
[論点 3-1]オプション付リース
〈論点 3-1-1〉更新オプション及び解約オプション
〈論点 3-1-2〉購入オプション
[論点 3-2]変動リース料
[論点 3-3]残価保証
【論点4】表示及び注記事項
[論点 4-1]借手の表示
[論点 4-2]貸手の表示
[論点 4-3]注記事項(借手及び貸手)
【論点 5】その他の論点
[論点 5-1]セール・アンド・リースバック取引
[論点 5-2]転リース
この中で中心となるのは、借手の会計処理・表示における「使用権モデル」と、貸手の会計処理・表示における「履行義務アプローチ」と「認識中止アプローチ」でしょう。
使用権モデルでは、借手は、リース取引開始日に、貸借対照表上で次の資産と負債を認識します。
(1) 使用権資産(リース期間にわたって原資産(リース物件)を使用する権利を表す資産)
(2) リース料支払債務(原資産を使用する権利と交換にリース料を支払う義務を表す負債)
損益計算書上では、上記(1)に係る償却費や(2)に係る利息費用などを認識します。
つまり、使用権資産は償却によって費用化され、リース料支払債務はリース料の支払いによって取り崩されていく(ただし利息費用が発生する)ことになります
ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類しないで、このような単一の処理を行います。
貸手の会計処理についても、借手と同様、使用権モデルが適用されますが、その適用の方法として、履行義務アプローチと認識中止アプローチという 2つのアプローチが使い分けられます。
(1) 履行義務アプローチ
リースにより、貸手に、リース料受取債権とリース負債(履行義務)が生じると考えるアプローチです。原資産の認識は中止されません。
収益は、リース期間にわたって貸手の履行義務が充足されるにつれて認識されます。
このアプローチでは、資産の二重計上にならないように、原資産にリース受取債権とリース負債を加減算して、正味リース資産として表示します。
(2) 認識中止アプローチ
リースにより、リース取引開始日に、貸手から借手にリース期間にわたる原資産の経済的便益が移転したと考えるアプローチです。原資産のうち、借手に移転した権利に係る経済的便益について認識の中止を行い、借手に移転していない権利に係る経済的便益について残存資産として認識します。
収益は、リース取引開始日に認識されます。
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