株式会社ジャパンディスプレイにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
金融庁の証券取引等監視委員会は、株式会社
ジャパンディスプレイにおける金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、課徴金納付命令発出の勧告を、2020年12月22日付で行いました。
「
架空の期末在庫の計上による売上原価の過少計上、販売見込みのない
在庫の評価損未計上による売上原価の過少計上、
収益の認識基準を満たしていない売上の計上、
固定資産の過大計上等、不適正な会計処理を行った」結果、「「重要な事項につき虚偽の記載」がある...有価証券報告書及び四半期報告書を提出した」とされています。
・平成28年3月期・平成29年3月期・平成31年3月期有価証券報告書(平成30年3月期は含まれていない)
・平成27年12月第3四半期・平成28年6月第1四半期・平成28年9月第2四半期・平成28年12月第3四半期四半期報告書(平成31年3月期の各四半期は含まれていない)
と、関連する発行開示書類(届出書)が対象です。
影響額は、例えば、平成28年3月期有報では、「売上原価の過少計上」により「営業利益が10,921百万円であるところを16,710百万円と記載」「親会社株主に帰属する当期純利益が▲42,078百万円であるところを▲31,840百万円と記載」などとなっています。
勧告された課徴金額は、21億6,333万4,996円です。
証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について(ジャパンディスプレイ)(PDFファイル)
「当社は、2020年4月14日付「2020年3月期第3四半期報告書の提出、過年度の有価証券報告書等及び決算短信等の訂正に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、2020年4月13日付で過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を関東財務局に提出いたしました。
本日、以下の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正に関して、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、当社に対する21億6,333万円の課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った旨の公表がなされましたので、お知らせいたします。」
「
課徴金については、
2020 年3月期第4四半期に、不適切会計関連費用の一部として 22 億円を特別損失「その他」へ見積計上しており、2021 年3月期の損益への影響は軽微であります。」
勧告もなされていない時点で損失計上するというのは、計上が早すぎるようにも思われますが、不正会計が明らかになった時点で課徴金による損失も発生した(発生はしているが確定していないから要見積計上)という考え方なのでしょうか。しかし、その考え方を突き詰めると、虚偽記載を含む有報・四半期報告書・届出書を提出した期に、課徴金が発生したということにならないのでしょうか(虚偽の報告書を提出したことが課徴金の原因だから)。
ジャパンディスプレイに21億円の課徴金命じるよう金融庁に勧告(NHK)
「経営再建中の液晶パネルメーカー、ジャパンディスプレイが不適切な会計処理を繰り返していた問題で、証券取引等監視委員会は決算に過大に計上された総額は112億円に上るとしてジャパンディスプレイに対し21億円余りの課徴金を命じるよう金融庁に勧告しました。」
JDIに課徴金21億円勧告 決算虚偽記載―監視委(時事)
「証券取引等監視委員会は22日、経営再建中の中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)に対し、有価証券報告書の虚偽記載による金融商品取引法違反で21億6333万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告した。
虚偽記載への課徴金としては、
東芝、日産自動車に次ぐ過去3番目の高額となる。」
ジャパンディスプレイ 不適切な会計で株主が損害賠償求める(2020年10月)(NHK)
「経営再建中の液晶パネルメーカー、ジャパンディスプレイが過去の決算で不適切な会計処理を繰り返していた問題で、会社の株主がうその情報を提供されて損害を受けたとして、38億円余りの損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。」
当サイトの関連記事(ジャパンディスプレイの第三者委員会報告書を批判している記事について)
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