検査拒否なら米上場廃止 中国標的の法案、議会通過
米下院が、米国で上場する外国企業に対し、規制当局(別報道によればPCAOB)による
会計監査状況の検査を義務付ける法案を通したという記事。中国企業がターゲットだといわれています。
「
3年連続で拒否すれば上場廃止となる。上院では5月に可決済みで、トランプ大統領の署名で成立する。」
「2019年に超党派で提出された「
外国企業説明責任法」は上場外国企業に経営の透明化を求める内容で、
外国政府による所有や支配下にないことの証明も求めている。ルール厳格化の背景には、新興市場ナスダックに同年上場した中国コーヒーチェーン「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」など不正会計が続いたことがある。」
全会一致とのことなので、この問題に関しては、民主党か共和党かは関係ないようです。議案の提案者も、両党から出ているようです。
米下院、米上場の中国企業に制限課す法案採決へ−迅速手続きで審議(ブルームバーグ)(可決前の記事)
U.S. House to vote on bill likely to prompt delisting of Chinese firms(ジャパンタイムズ)(ブルームバーグ記事の原文)
「中国は米上場の中国企業に
米公開会社会計監督委員会(PCAOB)の監査が入ることを拒否している。人権や軍事面などを巡る米中間の緊張激化や瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)の今年の会計不祥事を受け、緊急性が増している。
法案は企業が外国政府の管理下にないことを証明できない場合、あるいはPCAOBが企業を3年連続で監査できない場合、当該企業の証券は米取引所で取引が禁止される内容。」
PCAOBの「監査」というところは、会計監査人が会社の決算書に対して行う「監査」ではなく、その会計監査を対象とする「検査」のことでしょう。
問題になっているのは、米国で上場している中国企業の監査をPCAOBの検査官がレビューすることを、中国が拒絶していることです。
At issue is
China’s refusal to let inspectors from the Public Company Accounting Oversight Board (PCAOB) review audits of Chinese companies that trade on U.S. exchanges. It’s gained urgency due to rising tensions between the two countries on several fronts, from military to human rights, and also follows this year’s high-profile accounting scandal at Luckin Coffee Inc.
法案の内容は...
The legislation holds that if a company can’t show it’s not under the control of a foreign government, or the PCAOB isn’t able to audit the firm for three consecutive years, the company’s securities would be banned from U.S. exchanges.
中国の肩を持つわけではありませんが、米国で上場している企業だからといって、その企業を監査している監査事務所(それぞれの国で登録し監督を受けている)まで、米国の監督機関に検査させろというのは、相当無理な話です。それが始まったのは、エンロン事件により、米国で監査に対する監督が厳しくなったからであり、米国の会計スキャンダルが原因なのです。
米、中国勢に上場廃止圧力
対中強硬法案、下院も可決(日経)(記事冒頭のみ)
中国企業、米上場廃止に直面も 下院でも監査法案可決(ロイター)
「案を起草した
民主党のクリス・バンホーレン上院議員は声明で、米投資家は「他の上場企業と同じ基準を保っていない一見合法的な中国企業に投資し、だまされてきた」と指摘した。
共同起草者である
共和党のジョン・ケネディ上院議員は、中国が米取引所を利用して米国民を「搾取」していると主張。「有害な現状を拒否するため下院は上院に加わった」と述べた。
米国証券協会(ASA)は
「中国共産党に支配された不正な企業」から米国民を守るために必要な措置だとして法案可決を歓迎した。」
「法律事務所ポールヘイスティングスのパートナー(香港)、ショーン・ウー氏は、1月にはバイデン次期米大統領が就任するものの、中国企業に対する規制強化は続く可能性が高いと指摘。
同法が成立すれば「米国で上場している全ての中国企業が米当局の監督強化に直面し、他の選択肢を検討することを余儀なくされる」とし、
香港などが代替上場先になるとの見方を示した。」
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