企業会計基準公開草案第71号(企業会計基準第27号の改正案)「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」等の公表
企業会計基準委員会は、以下の改正案を2022年3月30日に公表しました。
・企業会計基準公開草案第71号(企業会計基準第27号の改正案)
「
法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」
・企業会計基準公開草案第72号(企業会計基準第25号の改正案)
「
包括利益の表示に関する会計基準(案)」
・企業会計基準適用指針公開草案第72号(企業会計基準適用指針第28号の改正案)
「
税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」
税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)と、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについて検討したものです。
以下、本公開草案の概要より改正内容です。
I. 税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)
1.
税金費用の計上区分についての原則
・当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その
発生源泉となる取引等に応じて、損益、株主資本及びその他の包括利益に区分して計上する。
2.複数の区分に関連することにより、株主資本又はその他の包括利益に計上する金額を算定することが困難な場合の取扱い
・課税の対象となった取引等が、損益に加えて、株主資本又はその他の包括利益に関連しており、かつ、株主資本又はその他の包括利益に対して課された法人税、住民税及び事業税等の金額を算定することが困難である場合には、当該税額を損益に計上することができる。(退職給付に関する取引を想定)
3.その他の会計処理
(1)重要性が乏しい場合の取扱い
・損益に計上されない当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等の金額に重要性が乏しい場合には、当該法人税、住民税及び事業税等を当期の損益に計上することができる。
(2)株主資本及びその他の包括利益に計上する金額の算定に関する取扱い
・株主資本又はその他の包括利益の区分に計上する法人税、住民税及び事業税等は、課税の対象となった取引等について、株主資本又はその他の包括利益に計上した金額に、課税の対象となる企業の対象期間における法定実効税率を乗じて算定する。
・課税所得が生じていないことなどから法令に従い算定した額がゼロとなる場合に株主資本又はその他の包括利益の区分に計上する法人税、住民税及び事業税等についてもゼロとするなど、他の合理的な計算方法により算定することができる。
(3)その他の包括利益の
組替調整(リサイクリング)に関する取扱い
・その他の包括利益累計額に計上された法人税、住民税及び事業税等については、当該法人税、住民税及び事業税等が課される
原因となる取引等が損益に計上された時点で、これに対応する税額を損益に計上する。
(4)関連する繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場合の取扱い
・税効果適用指針第 30 項における、親会社の持分変動による差額に係る連結財務諸表固有の一時差異について、資本剰余金を相手勘定として繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場合で、当該子会社に対する投資を売却し、一時差異が解消した際の繰延税金資産又は繰延税金負債の取崩しについては、資本剰余金を相手勘定として取り崩す。
4.その他の包括利益の開示に関する取扱い
・企業会計基準第 25 号「包括利益の表示に関する会計基準」第 8 項における、その他の包括利益の内訳項目から控除する「税効果の金額」及び注記する「税効果の金額」について、「税金費用(法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金及びそれらに関する税効果の金額をいう。)の金額」に改正する企業会計基準第 25 号「包括利益の表示に関する会計基準」第 8 項における、その他の包括利益の内訳項目から控除する「
税効果の金額」及び注記する「税効果の金額」について、「
税金費用(法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金及びそれらに関する税効果の金額をいう。)の金額」に改正する。
II. グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果
1.適用する企業
・100%子会社を所有する親会社の連結財務諸表において、その 100%子会社同士あるいは当該親会社とその 100%子会社との間で、当該親会社あるいはその 100%子会社が所有する子会社株式等を売却し、当該売却に伴い生じた売却損益について、グループ法人税制が適用される場合に適用される。
2.連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱い
・連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61条の 11)、連結財務諸表において以下の処理を行う。
(1) 子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を消去する。
(2) 購入側の企業による当該子会社株式等の再売却等、法人税法第 61 条の 11 に規定されている、課税所得計算上、繰り延べられた損益を計上することとなる事由についての意思決定がなされた時点において、当該消去額を戻し入れる。
(3) また、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異について、予測可能な将来の期間に子会社株式の売却(売却損益を繰り延べる場合)を行う意思決定又は実施計画が存在しても、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しない。
III. 適用時期等
・2024 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用
・2023 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用することができる。
・適用初年度の経過措置あり
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