ヘチマたわしで顔料インクを必死にこすり(前回の日記参照)紙のようにペラペラになった皮膚を抱え、悔しさに枕を濡らしていた私…。
こんにちは。ノムラです。あれから私は、大変な事実を忘れていたことに気がつきました。
「今年は厄年じゃねーか!!」
ガバッと布団から起き上がり
(ああ、いけない!忙しさからすっかり厄払いすることを忘れていた!)
「だから新年早々こんなことが…」
呪詛のごとくつぶやく私に、ほほえみデブが冷静にひとこと。
「絶対に違うと思うよ」
…てなワケで、先週の土曜日、府中市にある「大国魂神社」へ出かけて参りました。厄除け神社としてもたいへん有名で、この日も節分をとうに超えた2月であるにも関わらず順番待ちでぎっしりで、番号札が配布されるほどの混雑ぶりでありました。
無事に厄払いを済ませ、(さぁて、御神酒はいつ頂けるのかしら…)と期待で胸をワクワクさせていたら、帰り際に頂いた紙袋の中に御神酒らしいお酒の姿が…。
「アンタ、まさか…」
ほほえみデブの制止を振り切り、前歯で栓を抜き
「いや〜やっぱり早いうちに頂かないとね、こういうものは!!」
瞬間、後部座席にぶちこまれ、車の中でひとりほろ酔いに…。
完全に火がついてしまった私は帰宅後、「おい、てめぇも行くぞ」などと叫びながら、嫌がるデブを無理矢理ひきずりながら居酒屋のはしごをおこなったそうで…(完全に記憶がない)。
…とまぁ、こんな顛末はいつものことなのでさておき、顔料インクをぶちまけたことですら「厄年」に結びつけパニックになっていた私も、厄払いという行為のおかげで、精神的にも明るくなりました…。気の持ちようもありましょうが、私の様に暗示にかかりやすいタイプの、同じく1983年生まれ、今年32歳になる猪年の女性の皆様!是非とも厄払いされることをおすすめいたします〜。

(厄払いで頂くお札には名前と年齢の33歳(数え)がばっちり記載されております…)
さてさて。
「暗示にかかりやすいタイプ…」という言葉を書きながら、ふと思い出しました。
皆様は占いは好きですか?そして信じる方ですか?
私はといいますと、昔から「占い」が大好きな人間でありますが、これには理由があります。過去に日記の中でも語っておりますが、幼い頃から、人から褒められるという経験があまりにもなく…(褒めようがなかっただけだろというツッコミはなしでお願いします)
ことあるごとに優秀であり
(当時は)おまけに容姿がいい
(当時は)の
妹ポリポリと、比較され続けていたからです。
理由が明白であったにも関わらず、イマイチ納得のできなかった私は、(私にだって何かひとつくらい取り柄とか、褒められるところがあっていいハズだわ)と、自分の手で答え探しをはじめました(勉強しろよ)。
しかし、当時虫かごで飼育していたバッタのジャックに相談しても回答は得られず、田んぼに落ちているエロ本を拾ったり、またそのエロ本を落とす層を観察&分析することにより、小学生なりに何故自分がダメ人間であるのか、何故人に褒められることがないのか、一生懸命理由を考えてはみたのですが、私を納得させる答えは見つかりませんでした…。
そんな折、私の運命を変える出会いがありました。それは、ダメ人間の視察に訪れようとして立ち寄ったゲームセンターの、隅で埃をかぶっていた1回300円の「占いマシーン」でありました。
(おお!まさしくこのとおりではあるまいか!!)
私の11年にわたる人生の中でのさまざまな疑問や謎を、1回300円の占いマシーンはものの5分で解決してくれたのであります。
更にそこから元来のオカルト世界やスピリチュアル好きが高じて、さまざまな書物を読みあさる様になり、勉強そっちのけで情熱を燃やすようになりました。そして、当時、ノリにノっていた占い好きの乙女のための雑誌「マイバースデイ」(通称MB)の存在を知り、小学生のなけなしのお小遣いを毎月はたき、購読しはじめ、更にどっぷり占いやオカルト世界に没頭(逃避)していったのであります。
そうです。
私が占い好きになった背景には、悲しすぎる幼少期の過去が潜んでいるのです。
大人になった今でも名残はあり、例えば星座の話題ひとつとっても、
「私はアセンダント星座は天秤座。あなたのアセンダントは?」
などと聞いては相手に「なんのことです?」などと聞き返される始末で(普通星座といえば太陽星座を指す)、幼少期の経験が大人になった今でもふか〜く、ふか〜く刻み込まれており、トホホな思いをしているワケですが…。
話がそれました。
つまり、私は占いが好きである背景にはこういう理由があったのです。では、「信じる方ですか?」と問われると…。
これに関しては少々懐疑的だったりします。
「いやいや、アンタさ、これだけ占いがスキだとか散々語っておいてそれはどうなのよ?」
はい、ごもっともです。
しかし、これも後に私の経験からそう思わざるを得ないこととなっていくのです…。
それは、私が学生時代の頃。
学園祭の「創己祭」では、各学科やサークルが工夫を凝らしたイベントや出し物をおこなうのですが、我が「ミステリー同好会」(言い出しっぺ&設立者が私なのは言うまでもない)では、話し合いの結果、「ミステリー喫茶」なるものをおこなうことになりました。
提供するものは単に市販の茶菓子であり、これに「ミステリー」だとか「恐怖」などといった適当な名前をつけただけのものでありましたが、これだけじゃつまらないので、「イベント的に占いをおこなおう」ということになりました。
そこで、私が占い師に扮することとなり、
「謎の占い師・クリスティーナ=顎レラが、あなたの未来を占います☆」
などと、あろうことか占いを提供することに…。
しかし、実際にはタロットカード(マイバースデイの付録)を持参したというものの、部屋の照明が落とされているおかげで、手元がよく見えないという有様。まったくのド素人、カードの結果だけを頼りにしようと思っていたのに(さすがにタロットカードの意味は理解ができた)
「これはマズイぞ…」
大ピンチが訪れました。
実際にそれなりにお客さんが訪れており、焦った私は決意しました。
デタラメをしゃべることを…。
その人の声質から
「もともと貴方は気丈な人です、責任感の強い人ですね。しかし最近悩みがありますね?」
(そりゃそうだ、悩んでなきゃ遊びでもこんなとこ来ねーよ!)
妙齢らしき声の女性には
「あなた、家庭で不和を抱えていらっしゃいませんか?」
(誰だって家庭の不和のひとつやふたつあるだろうよ!)
などと自分でもツッコミを入れたくなるぐらいのデタラメなやりとりにも関わらず、
「そうなんです、実は私…最近彼とうまくいってなくて」
「何故分かるのですか?…実はうちの親戚の兄が…」
などと自ら話を展開するお客さんが大勢いたのです。
更に、私のデタラメな占いが冗談でも「当たる」といわれたことに衝撃を覚え、
「おーい!やったのは私だぞ!!なにひとつロクに占えやしないんだぞ〜」
思えば私がやったことは所謂コールドリーディングのようなもので、誰もが思い当たることを適当に述べた後に、相手の方から情報を出させるという心理テクニックだったのですが、
(占いってこんなもんなのかよ…)
と、ずいぶんがっかりした記憶があります。この経験以降です…。あれだけ占いに熱をあげていた幼少期からは想像できないほど、「信じるか?」と問われれば「う〜ん」とうなる様になってしまったのは…。特に占いの中でも、対面式のものに関しては体験から懐疑的な考えに変わっていきました。
しかし、占いが好きであることに変わりはなく、上限1000円までの、それもビール1、2杯程度の値段の範囲内であれば、(やってみたいなぁ〜)なんてことは、今でも思います。
そんな折のこと。
何やらネットで「預言カフェ」なるものが話題を呼んでいることを知りました。
(預言カフェ?なんだそれは)
どうもコーヒーを飲みながら、カミサマからの預言が聞けるという世にも珍しいカフェであるそうです。
失礼ながら、一瞬怪しいものを感じてしまいました。が、
「キングダムカフェ預言」という名前のインパクトは大きく、中で何がおこなわれているのか非常に気になりました。
おまけにひとたび検索すれば、賛辞の言葉や「当たる!」という声がネット上に溢れかえっているではありませんか。
(しかし、自分の経験を考えれば、鵜呑みにもできないなぁ…)
値段は飲食代のみで、預言代というものも一切かからないそうだし。
「よし!百聞は一見になんとやら!何がなんだか分からないけれど、気になるし考えるより先だ、とりあえず出かけてみるぞ〜〜」
と、早速「預言カフェ」に出かけることに。
私がこの日向かったのは、我が家の近くにある吉祥寺店。預言カフェには高田馬場店や吉祥寺店など、いくつか店舗が存在するそうです。迷える子羊にとって、これはなかなか便利なことではないでしょうか。
「キングダムカフェ預言 預言が受けられるカフェ」
とでかでかと書かれた看板に一瞬たじろぎましたが、意を決し中に進みます。階段を下りて向かったその先には…。
鏡ばりの広々とした空間に、テーブルや椅子が綺麗に配置され…。洞穴のような空間に、骸骨とロウソクがならぶ…といったいかにもなものを想像していただけに、思わずホッと胸をなでおろしました。
とりあえず奥の方に腰をおろします。平日のおやつ時ということもあるのでしょうが、お客さんは優雅なマダム風のおばさまが多く、
その全員が女性でした。
で。
ホームページからも薄々感じてはいましたが、ここは母体が教会なんだそうで、あちこちにキリスト色の強いものや、「イエスさま」関連のものが並んでいたりします。
メニュー表にも「迷える子羊のうんちゃら〜」だとか、「羊飼いがうんちゃら〜」だとか「最後の晩餐のうんちゃら〜」だとか、まるで「陽気な狩人が生け捕りした子鹿のステーキ」的なエッジのきいた食事メニューがならびます。
コーヒーや紅茶などのドリンク類が飲み放題1000円だったので、とりあえずそちらをオーダーします。

(飲み物と一緒に紙を渡され、これに名前を記入。しばしの間、本を読みながら「預言者」とやらが訪れるのを待ちます)
しばらくするとエプロン姿の優しそうな女性が私のもとへとやってきました。
(まさか、この方が預言者!?)
どぎまぎしていると、
「これは占いではない、あくまでもカミサマから頂いたメッセージである、それを私たちが受け取って話します、だから占いのように具体的な未来を予想するものではないし、必ずしもあなたが思い描いている回答を受け取れないかもしれない…」
とのようなことをつらつらと説明されました。
とにかく「これは占いではない、カミサマからのメッセージ」ということを何度も強調されるので、占いと混同される方が多いのかも分かりません。(事実私も占いのような感覚でいた…)
そして「カミサマからのメッセージは非常に早いです、必ず録音してください」との指示を受け、慌ててポッケからiPhoneを取り出し、ボイスレコーダーのスイッチをONにします…。
日付と名前を読み上げられた後、(え?やっぱりこの方が預言者なの?)なんて思う間もなく預言がはじまりました…。
結論から先に言いますと。
(どうせコールドリーディングでしょ〜)なんてほとんど信じていなかった私が、お店を出る頃には「これはすげええええ」と、考えが180度変わっていたほどに、さまざまなことを言い当てられてしまいました…。
まず、カミサマからの有り難い第一声
「あなたは大変掃除のお好きな方と、カミサマはおっしゃってます」
ここで(ハハン、どんなもんじゃい、みてやろうじゃねーの)なんて腕を組んでいた私の態度が一瞬にして変わってしまいました。
というのも、いくらコールドリーディングといえど、私の外見や風貌から趣味の「掃除」や「整理整頓」を見抜く人は誰一人としていないからです。
「玄関の前でゴミを拾ってらっしゃるのが見えます、掃除もそれから整理整頓も…」
と、普段の私の様子をペラペラ喋られ、「ええっ!」とあっけにとられているうちに、誰にも話していないことを次々に告げられ…。
例の経験がある私からすると(なんでだろう)という疑問がつぎつぎに浮かびました。
で、(ひとり5分もあればいいかなぁ)なんて、考えていたのですが、途中から、何度か目をつぶられたり言葉がとぎれとぎれになったり、こちらが「どうしたんですか!?」と思わず心配になる場面もあったせいでしょうか、トータル9分31秒も預言をいただく結果となりました…。
メッセージを全文アップしたり具体的にアップするのは控えますが、思わず「それはない!」と全力でツッコミしたくなるような…
「それからあなたは気づいていませんが(中略)あなたには〜の道がありますと、カミサマはおっしゃってます、(中略)今のあなたには信じられないでしょうが、この可能性があることをここでお伝えします、いずれ理解するときがくるでしょうとカミサマはおっしゃってます…」
このような不思議なメッセージも頂き、これはこれで考えさせられたりもしました…。
しかし、どこか信じきれない部分もあった私は、自分の番が終わった後に、小説を読むフリをしながら他の方の様子をうかがっていたのですが(やめましょう)、思わず感嘆の声をあげる方もいれば、抽象的なメッセージに怪訝そうな感じの方もいたりと、お告げの内容もバラバラであれば、反応も皆さんそれぞれでした。
が、当たるにしろ当たらないにしろ、飲み物代でカジュアルにお告げ体験ができるというのは、巷でバカ高い値段で占いをしてもらうよりもよっぽど実があって面白いことのように感じました。
しかーし。
私は無宗教であり、カミサマホトケサマに関してもどっちがどうだ〜とか考える気はさらさらないのですが、キリスト色が強いので、中には抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。まず冒頭が「主よ、愛する娘よ…」ではじまりますし、「カミサマは」「愛する娘よ」といった言葉がじつによく登場します。
私は三浦綾子小説をよく読むため、(作者がキリシタンのためによくも悪くも聖書やイエスサマがふんだんに使われている)そういったキリスト教関連のものにあんまり抵抗はないつもりですが、見慣れない・聞き慣れない方はちょっとビックリするかもしれません。
というワケで、見えない世界を感じに(?)出かけてみるのも面白いかもしれません。
私も過去の自分のように、ゲームセンターの隅に置かれた占いマシーンに頼りたいことがあれば、また出かけてみたいなぁと思いました。(後半は厄年まったく関係ない話題じゃねーか)

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