NYに行って初めて知ったギターリストが二人。ひとりは、行く前に齋藤さんに聞いていたAdam Rogers。もう1人はNYの久里子さんにきいたKurt Rosenwinkel。Kurtの方は残念ねんながら見ることはできなかった。Adam RogersはMicheal Breakerと一緒にずっとグループをやっていたようで、最近のJAZZを知らない私には初めての名前であったが、知っている人も多いかも。年齢不詳だが、40歳くらいかなあ。ダウンタウンの55barと言う所でライブをやっていたのだが、HPで聞いていたような、JIM HALL系の音でなく、ラリー・カールトンの様な、ストラトにディストーションサウンドで、JAZZを弾きまくっていた。実は結構がっかりした。テクニック的には本当に素晴らしく、ピックと弦に触れ合うタッチの精密さはすごい。クラシックもかなりきっちりやったらしいが、そのあたりの感覚がピックにも生きている。ただ、どの曲もソロはワンコードで、音楽をやっているというよりはギターの上手さに神経がほとんど行っている感じだった。Breakerのグループでは結構難しいチェンジの曲もやっているのででき無いわけではないし、もちろん、それを安易に「つまんね〜」なんてレベルではないのだが。一緒に行った家の奥さんも、別の日に見たもう少しレベルの低いバンドのライブの方が変化も多くて楽しかったようだが同感だった。
もう1人のKurt、彼はNYでの評価はずいぶん高いようだ。日本に帰ってCDを買って聞いてみたがタイプはにている。テクニック的にはAdamの方がレベルは高そうだ。しかし、確かにKurtの方が聞いていてずっと面白い。良くスイングしているし、絵の描き方もずっと良く練られているし、精神の高揚のさせ方を良く知っている。ちなみに38歳。
でもこの二人、聞けば聞くほど面白い。長い間、最近のJAZZを見放していた私は、やはりちょっと間違っているかなあと思わせる。アドリブの仕方も非常に良くにている。ギターにとっては非常に難しい跳躍する音が多いが、ただ跳躍しているのでなくJAZZッぽいフレージングは伝統をしっかり継承している。70・80年代コールトレン・スクールがJAZZの主流でフレージングも私には非常になじみが有って分かりやすかった。この新しい世代は、ひょっとしたらShorterの影響が大きいのかなあと感じるときがある。まあ、そんなことはどうでも良いのかも知れないが。私にとっては、ずいぶん新鮮なSOLOの持っていき方だ。普通のビバップのソロだったら聞いていてだいたいの音は取れる。しかし、こういうものは、きっちり楽器を使って取ってみないと分からない。昔、有るピアニストと旅の途中、クレア・フィッシャーのピアノを聴いて、これは分からん。知らない世界だといって、帰った時にお互い取ってみたら結構普通のディミニッシュの変形だった。そう、持っていき方が違うとこれは違う音楽で結構分からない。でもこの新鮮さは刺激的で素晴らしい。このあたり、しっかりお勉強する必要があるかも知れない。

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