選ばれなかった踊り  DVD・VHS

 チャイコフスキーの没後、プティパによって蘇演されたバレエ「白鳥の湖」では、いくつかの曲が省かれました。今日はそのひとつ、「ロシアの踊り」。原典版では第3幕、花嫁選びの舞踏会で踊られる各国の踊りの1つだったようです。

 プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の音盤では、ハンガリーのチャルダーシュの次に Appendix として演奏されています。各国の踊りはこの他にスペイン、ナポリ、マズルカがありますが、プティパはロシアだけを省きました。現在でも、マリインスキー・バレエのセルゲイエフ版(1950年)はそのようになっています。

 ロシアでこの曲がバレエの舞台に戻ってきたのは、1969年にモスクワのボリショイ劇場で初演されたグリーゴローヴィチ版からでしょうか。セルゲイエフ版では、チャルダーシュからマズルカまで、各国のキャラクター・ダンスがくり広げられる場面ですが、グリゴロ版は王子の花嫁候補たちがお供を従え、トゥシューズで踊ります。いろんな国から招待された姫君たちでしょうか。それぞれの土地の舞曲から採った曲想が楽しめます。花嫁候補の中でロシアの姫君は楚々として上品。一番おとなしい踊りでした。
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 写真はマリインスキー・バレエ、オリガ・チェンチーコワのソロによる「ロシアの踊り」です。1992年、ロンドンのコヴェントガーデン王立歌劇場のガラ公演から。
グリゴロ版とは違い、白い小さなチーフをヒラヒラと振りながら登場します。大きな頭飾りを付け、民族舞踏風の振付ですが、トゥシューズでコトコト踏むステップは優雅です。ハンガリーやマズルカの躍動感からすると、どうしてもおとなしい印象になります。
 プティパは躍動的なダンスで次々と客の到来するこのシーンを彩ろうとしたとき、「ロシアの踊り」の音楽は舞台の勢いを削ぐと考えたのでしょうか。

 今日取り上げたバレエ作品の映像盤は、ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」(1989年収録)、マリインスキー・バレエほかのダンサーによる「エッセンシャル・バレエ」(1992年収録)です。現在はどちらもメーカー品切れです。


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2007/5/9  23:45

 

イケメンにして名ヴァイオリニスト。世の中は不公平であるとつくづく思います(爆)。ジョシュア・ベルのヴァイオリンをいつ初めて聞いたのかどうしても思い出せないのですが、その素直な音色に魅了されました。シューマンのヴァイオリン協奏曲などとても好きです。経歴を見て 




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