キエフバレエ 白鳥の湖 バレエ・ダンス
ウクライナの国民詩人、シェフチェンコの名前を冠したタラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ団、日本公演の通称はキエフ バレエ。そのびわ湖ホール公演「白鳥の湖」を観てきました。
いい舞台でした。道化がいなくて少しもの足りなかったけれど、ダンサーと管弦楽団の生真面目で丁寧で随所にロシア系の個性が垣間見えるパフォーマンス。終わってみれば、総合点において私の設定基準値をかる〜く上回っておりました。満足、納得、好感度大ナリ。
◆キャスト
オデット・オディール:
ナタリヤ・ドムラチェワ
ジークフリート王子:
セルギイ・シドルスキー
ロットバルト:
ルスラン・ベンツィアノフ
王妃:
リュトミーラ・メーリニク
家庭教師:
オレグ・トカリ
小さな白鳥:
コストグリズ
シーラ
ソルダテンコ
シュマク
ヴェニスの踊り
菅野英男(ソリストは男性のみ)
パドトロワの男性ソリスト
コスチャンチン・ポジャルニツキー
私はプログラムを買わなかったので、入口で配布されたキャスト表から判明したのは以上です。大きな白鳥と花嫁候補には田北しのぶさんがいました。ソリストの中に、黒髪でとても存在感のあるムーヴメント(美しくて、押し出しもありそう)のバレリーナがいたのですが、だれだろう。
舞台装置はシンプルで必要最低限、衣装はそのシンプルな装置を補うかのように光り物をあしらった王侯貴族やキャラクテールのコスチュームがまぶしいぞ(座席のせいかな)。踊らないダンサーは無闇に舞台に立たせず(2幕舞踏会のシーンでも、キャラクテールを終えたダンサーのごく一部が両側にちょこっいるだけ)など、踊りを観んとやスワンレイク オブ キエフ。
まずまず揃ったコール・ド・バレエ、高くてエクステンションがきれいなジュテを惜しみなく飛ぶ男性ダンサー(しっかりもののジークフリート、トロワのソリスト、そしてちょっと癖があるけどロットバルト)が印象に残りました。コールドの踊りは個人差がありますが、男性ダンサーは総じて背が高くて脚がきれいでした。
また、2幕 舞踏会のキャラクテールはさすが。チャルダーシュやマズルカといった東欧民族舞踏は、やっぱりロシア系のバレエ団で観るのが一番です。音楽に合わせた動きとポーズが、真似事ではない本場のかっこよさではまっています。
主役のドムラチェワ。1幕 湖畔のシーンを観たところでは「彼女はオデットには向いてない」と感じました。悲劇的な陰翳と白鳥たちを率いるほどの華がない。小柄で運動能力(テクニック)に優れているが、アダージョやマイムはムーヴメントが一本調子、コーダはせかせかしている。したがって、コールドやソリストとは異なるオデットの存在感を、彼女の踊りに見いだせなかったからです。
が、教則本通りきっちり演技して王子をケムに巻いてしまったオディールのグランパドドゥ(グランフェッテではトリプルも披露!)と、最後の高笑いで調子を上げ、3幕は見違えたよ。なんだ、できるじゃない!と。
彼女は若さときっちり要所を押さえた演技でオディールも楽しませてくれますが、基本的には「善」が存在の大部分を占めるバレリーナなのでしょう。1幕のオデットも、しっかり気持ちを作りこんで舞台に立ってね。
というわけで、今日はドムラチェワのオデット&オディールを、うるさ型バレエファンになって楽しんだのでした。
そうそう、今日の座席はオーケストラピットがほとんど全部見える位置でした。ヴァイオリンのソロが、ところどころ悪戦苦闘しておりましたが、特別何かの楽器が狂ったように突出することもなく、かといって温和しくもなく、ドラマを奏でておりましたです。
指揮者がどんなに棒を振っても楷書で吹くフルートの音を聴いて、2004年の「くるみ」を思い出しました。明日の序曲、頑張ってね♪
何もかもかき消すかと心配した金管も、けっして暴れん坊ではなく、なかなか盛大で心地よかったです。フィナーレ、すごかったね。幕が下りたらすぐ、金管パートだけが満足げに握手なんぞ交わしておりました。
久しぶりのバレエ鑑賞、私も彼らと握手したいような気持ちで拍手しました。
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いい舞台でした。道化がいなくて少しもの足りなかったけれど、ダンサーと管弦楽団の生真面目で丁寧で随所にロシア系の個性が垣間見えるパフォーマンス。終わってみれば、総合点において私の設定基準値をかる〜く上回っておりました。満足、納得、好感度大ナリ。
◆キャスト
オデット・オディール:
ナタリヤ・ドムラチェワ
ジークフリート王子:
セルギイ・シドルスキー
ロットバルト:
ルスラン・ベンツィアノフ
王妃:
リュトミーラ・メーリニク
家庭教師:
オレグ・トカリ
小さな白鳥:
コストグリズ
シーラ
ソルダテンコ
シュマク
ヴェニスの踊り
菅野英男(ソリストは男性のみ)
パドトロワの男性ソリスト
コスチャンチン・ポジャルニツキー
私はプログラムを買わなかったので、入口で配布されたキャスト表から判明したのは以上です。大きな白鳥と花嫁候補には田北しのぶさんがいました。ソリストの中に、黒髪でとても存在感のあるムーヴメント(美しくて、押し出しもありそう)のバレリーナがいたのですが、だれだろう。
舞台装置はシンプルで必要最低限、衣装はそのシンプルな装置を補うかのように光り物をあしらった王侯貴族やキャラクテールのコスチュームがまぶしいぞ(座席のせいかな)。踊らないダンサーは無闇に舞台に立たせず(2幕舞踏会のシーンでも、キャラクテールを終えたダンサーのごく一部が両側にちょこっいるだけ)など、踊りを観んとやスワンレイク オブ キエフ。
まずまず揃ったコール・ド・バレエ、高くてエクステンションがきれいなジュテを惜しみなく飛ぶ男性ダンサー(しっかりもののジークフリート、トロワのソリスト、そしてちょっと癖があるけどロットバルト)が印象に残りました。コールドの踊りは個人差がありますが、男性ダンサーは総じて背が高くて脚がきれいでした。
また、2幕 舞踏会のキャラクテールはさすが。チャルダーシュやマズルカといった東欧民族舞踏は、やっぱりロシア系のバレエ団で観るのが一番です。音楽に合わせた動きとポーズが、真似事ではない本場のかっこよさではまっています。
主役のドムラチェワ。1幕 湖畔のシーンを観たところでは「彼女はオデットには向いてない」と感じました。悲劇的な陰翳と白鳥たちを率いるほどの華がない。小柄で運動能力(テクニック)に優れているが、アダージョやマイムはムーヴメントが一本調子、コーダはせかせかしている。したがって、コールドやソリストとは異なるオデットの存在感を、彼女の踊りに見いだせなかったからです。
が、教則本通りきっちり演技して王子をケムに巻いてしまったオディールのグランパドドゥ(グランフェッテではトリプルも披露!)と、最後の高笑いで調子を上げ、3幕は見違えたよ。なんだ、できるじゃない!と。
彼女は若さときっちり要所を押さえた演技でオディールも楽しませてくれますが、基本的には「善」が存在の大部分を占めるバレリーナなのでしょう。1幕のオデットも、しっかり気持ちを作りこんで舞台に立ってね。
というわけで、今日はドムラチェワのオデット&オディールを、うるさ型バレエファンになって楽しんだのでした。
そうそう、今日の座席はオーケストラピットがほとんど全部見える位置でした。ヴァイオリンのソロが、ところどころ悪戦苦闘しておりましたが、特別何かの楽器が狂ったように突出することもなく、かといって温和しくもなく、ドラマを奏でておりましたです。
指揮者がどんなに棒を振っても楷書で吹くフルートの音を聴いて、2004年の「くるみ」を思い出しました。明日の序曲、頑張ってね♪
何もかもかき消すかと心配した金管も、けっして暴れん坊ではなく、なかなか盛大で心地よかったです。フィナーレ、すごかったね。幕が下りたらすぐ、金管パートだけが満足げに握手なんぞ交わしておりました。
久しぶりのバレエ鑑賞、私も彼らと握手したいような気持ちで拍手しました。
