ケインとアベル  読書

 ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」読了。主人公は、ボストンの銀行家のひとり息子、ウィリアム・ケインと、ポーランドの森で産み落とされた直後に孤児となったウワデク・コスキェヴィチ(移民先のアメリカでアベル・ロスノフスキと名のる)。20世紀初頭の同じ日に生まれた2人の男の一代記が平行し、やがて交錯しながら描かれる。

 ストーリーは波瀾万丈でドラマチックながら、想定の範囲外のことは起こらない。それでも最後まで飽きなかったな〜。

 前半は、ユーラシアを横断して戻ってくるほど壮大で過酷なアベルの苦難を、彼が運と才覚だけで切り抜けていく展開に惹かれて。中盤からは、育ちのよい敏腕銀行家にして投資家らしい態度でアベルに相対するウィリアム・ケインが、最後まで善き人でいられるのかという興味から。アベルは親友の復讐を果たすために、長年にわたってウィリアムに攻撃を仕掛け、憎悪を募らせるのである。

んで、そんな下世話な興味に作者が用意してくれた答えのところまで読んだとて、カタルシスは当然のごとく、低調なもので。そのあたりまで読むと、アーチャーに皮肉を言われているんじゃないかと考えすぎてしまうようなパラグラフやフレーズも目につくのよ。やってくれたわね。

 最後まで興味は尽きないけれど、お約束を外すことはない盛りだくさんのフルコース・ディナー、読みごたえがありました。それにしても、あとにどうにも消化不良のまま残るのは、ポーランド娘フロレンティナがロシア兵の暴力によって命を落とすくだり。こういう暴力だけは、小説の印象として収まらない。シクシクと痛い。
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メストレのドビュッシー  CD・レコード

 宵のくち、FM放送を聴いていたら、リロイ・アンダーソン生誕100年特集 とか。調子がよくてカラッと明るく、それなりに盛大。しかも、ちょっと疲れた日の夕方でもむやみに騒がしいとは感じない♪ 「おしゃべり」、「タイプライター」、そして「ラッパ吹きの休日」。こんな秋の日にひとりで聴くと、田舎の運動会を思い出すじゃないの。

 話は変わって、明日の昼下がりのFM放送クラシック・カフェは近代フランスもの。

 この秋来日してソロ・リサイタルをするフランス人ハープ奏者、グザヴィエ・ドゥ・メストレの演奏があります(18分30秒)。音楽の友 2008年 08月号 [雑誌]の表紙に登場したオトコマエ。

 音友8月号にはフィンランド音楽事情特集もあるというので図書館で探してみたが、館内閲覧限定〈貸し出しません)のはずなのにいつも行方不明。まあ、いいか。。。

 放送されるのは、ソプラノのディアナ・ダムラウとのデュオ。というか、メストレは伴奏とういうことになるのでしょうか。

ドビュッシーの歌曲より(メストレ編曲)
 エトワールの夜(星の輝く夜)
 リラ
 麦の花
 月の光
 マンドリン
 美しき夕べ
 まぼろし


このCDからの抜粋です。
 @TOWER.JP
 


 このサイトでは『2つのアラベスク』も歌曲になっちゃってますが、誤植です。

Amazon.co.jp
 エトワールの夜
 ~グザヴィエ・ドゥ・メストレ プレイズ・ドビュッシー


 バレエファンなら知っている。美々しく流麗なハープのアルペジオは、チャイコフスキーの3大バレエになくてはならないもの。オケピでは、たいてい女性のハープ奏者がかき鳴らしているのだけれど、ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場の映像では、けっこうなお年の立派な紳士が荘厳な面持ちで奏でておられるのを見かける。

 メストレはウィーン・フィルのソロ・ハーピスト。彼にとって、この世界にはハープのための楽曲が足りない! なので、慎重なる選曲の上、自分で編曲して演奏するのだそう。そんな彼の思いは、前回2006年来日時のインタビュー記事にて知ることができます。
王子ホールの公式サイト(2006年)
ハープをもっとポピュラーに

 で、ドビュッシーの「メロディー(歌曲)」。大好きなドイツの歌姫・ダムラウのフランス語で聴く。残念ながら言葉がさっぱりわからず、どんなことが歌われているのだか 夜の女王(オペラ:魔笛)やコンスタンツェ(オペラ:後宮からの逃走)では圧倒的な存在感を放ち、歌曲を歌えばどこかの令嬢(?)のごとき銀色の声。それが、ドビュッシーの歌曲では、ひとつの曲の中でさえ、くるくると輝きを変える。「マンドリン」の短い音が連続する速いパッセージなどは、ティンカーベルみたいな妖精を思わせる(orz…この期におよんでもアメリカものしか思い浮かばないよ)。

 このアルバムの中で、いちばん好きなのはウィーン・フィルのヴァイオリン(7)、ヴィオラ(3)、チェロ(2)、コントラ・バス(1)とのセッション(というんだっけ?)による『ハープと弦楽のための舞曲』。「牧神の午後」を聴いているときに感じるような、ドビュッシーの風が吹くのよ。

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