パトリシア・プティボン ソプラノ・リサイタル 演奏会
今日は雨。桜の花びらは昨日よりずっと赤みが増している。雨に染まって桜色とは。
さて、昨日はフランスから初来日のソプラノ、パトリシア・プティボンのコンサート(ザ・シンフォニーホール)に行きました。事前に発表された曲目が、私が思い描くオペラのプリマドンナとはちょっと違っているように思えたので、親しみやすさを期待してチケットを買いました。声楽のソロ・リサイタルは初めてです。はたして期待通りでした。楽しかったです。
◆パトリシア・プティボン ソプラノ・リサイタル
日時:2008年4月6日(日)14時開演
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪)
《プログラム》
【第1部】
レーナルド・アーン:
クロリスに
懐疑の人
ブドウ摘みの3日間
彼女の館のとりこになったとき
アーロン・コープランド:
「アメリカの古い歌」第2集より
シオンの壁
小さな馬たち
チンガリン・チョウ
河にて
マニュエル・ロザンタール:
フィド、フィド
動物園の年寄りラクダ
サミュエル・バーバー:
この輝ける夜に、きっと
アメリカ民謡:
私の愛しい人は黒髪
フランシス・プーランク:
歌曲集「偽りの婚約」より
ヴィオロン
愛の小径
【第2部】
アンリ・コレ:
ラバ引きたちの人生
フェルナンド・オブラドルス:
花嫁はおちびさん
ホアキン・トゥリーナ:
あなたの青い眼
マヌエル・ド・ファリャ:
ムーア人の布地
子守唄
W. A. モーツァルト:
歌劇「フィガロの結婚」第4幕より
バルバリーナのカヴァティーナ“失くしてしまったの”
スザンナのアリア“早くおいで、美しい歓びよ”
エリック・サティ:
ブロンズの彫像
ダフェネオ
イザベル・アブルケル:
愛してる
【アンコール】
オッフェンバック:
歌劇「ホフマン物語」よりオランピアのアリア
“森の小鳥はあこがれを歌う”
ファリャ:
7つのスペイン民謡より
アストゥリアス地方の歌
アブケル:
愛してる
[ソプラノ] パトリシア・プティボン
[ピアノ] マチェイ・ピクルスキ
プログラム(五百円也)によりますと、大阪と4月12日の東京オペラシティ公演はAプロ、8日(名古屋、電気文化会館 ザ・コンサートホール)と10日(東京 王子ホール)はBプロ(モーツァルト作品がカントルーブの歌曲集「オーベルニュの歌」と差換え)だそうです。
ザ・シンフォニーホールのサイト、それから招聘元ジャパン・アーツのサイトにも、彼女の魅力はしっかり書かれていて、まったくその通りでありました。いくつものユニークな引き出しを持つ芸達者なソプラノのコメディエンヌ、という印象が強かったです。この日の演目はフランス、アメリカ、スペイン、ドイツの4カ国語で歌われ、深い叙情からコミカルなものまで色とりどり。スペインやアメリカのフォークロアふうメロディ、声の妙技が随所に聴かれました。それを時には、グルグル歩き回ったりちょこちょこ小走り、ぴょんぴょん両足跳びなどしながら息も切らさず歌い継いでいきます。ピアニストのピクルスキまで、演技に打楽器演奏にと忙しい。
また、ピアノの周りには小道具類がいっぱい。鐘、カスタネット、マラカス、小さなシロフォンから冗談みたいなおもちゃのメガネにピエロの付け鼻、クラッカー付きのおもちゃのガン、なぜか日本人タレントの特大ポスター…いやはや最後まで何が出るか油断なりませんでした。
私の座席は1階の前方ブロック。冒頭のアーンの作品は、様々な恋の叙情を歌うフランス語。中音域がホールいっぱいに広がってとてもインパクトが強かったです。たっぷりした声とピアノ、両者の残響がじゃまになって何が何だか分からなくなるところもあり。
続くコープランドの歌曲は英語。ここへきて、言葉が少しでも分かるというのは、作品の叙情表現がずいぶんはっきり感じられるものだなあと思いました。意味を知っている言葉によってイメージを描くことができるからです。フランス語やドイツ語では、こうはいきません。
この日のコープランド作品はゴスペルを彷彿とさせるものがあり、とても魅力を感じました。南部風鈴のような澄んだ高い音色の鐘をたたき、柄の付いたカスタネットを振りながら歌う「小さな馬たち」は、子守唄ふうに始まります。
“H〜aa〜shh(Hash)….”と喉に息をこすりつけるように発声する冒頭など、いかにもアメリカ南部の古い民謡ふう。惜しむらくは、カスタネットの音と椅子に腰掛けて前かがみで歌う姿勢が災いして、声が聞こえなくなったことです。この日は最後まで、「そんなに動き回らなくていいから、じっくり聴かせて」と思う場面が何度かありました。
モーツァルトは、もちろんよかったです。あの伴奏を聴くとホッとしました。上等の甘いクリーム。トゥリーナ作品「あなたの青い眼」で聴かせてくれたいかにもスペイン!なヴォカリーズのカデンツァもよかった。
肩の凝らない、私にとってはちょっと珍しい作品の数々、気さくでサービス精神旺盛なプティボン♪ 昼公演らしく、キュートでキッチュなコンサートでありました。
帰りに大阪環状線で鶴橋へ。商店街にコリアンの食材を売る店がいっぱいあるのだ。各種キムチとチシャ味噌を買う。環状線沿線、満開の桜も楽しみました。
本日の読書:
チャップリン暗殺
〜5.15事件で誰よりも狙われた男〜
大野 裕之/メディアファクトリー
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さて、昨日はフランスから初来日のソプラノ、パトリシア・プティボンのコンサート(ザ・シンフォニーホール)に行きました。事前に発表された曲目が、私が思い描くオペラのプリマドンナとはちょっと違っているように思えたので、親しみやすさを期待してチケットを買いました。声楽のソロ・リサイタルは初めてです。はたして期待通りでした。楽しかったです。
◆パトリシア・プティボン ソプラノ・リサイタル
日時:2008年4月6日(日)14時開演
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪)
《プログラム》
【第1部】
レーナルド・アーン:
クロリスに
懐疑の人
ブドウ摘みの3日間
彼女の館のとりこになったとき
アーロン・コープランド:
「アメリカの古い歌」第2集より
シオンの壁
小さな馬たち
チンガリン・チョウ
河にて
マニュエル・ロザンタール:
フィド、フィド
動物園の年寄りラクダ
サミュエル・バーバー:
この輝ける夜に、きっと
アメリカ民謡:
私の愛しい人は黒髪
フランシス・プーランク:
歌曲集「偽りの婚約」より
ヴィオロン
愛の小径
【第2部】
アンリ・コレ:
ラバ引きたちの人生
フェルナンド・オブラドルス:
花嫁はおちびさん
ホアキン・トゥリーナ:
あなたの青い眼
マヌエル・ド・ファリャ:
ムーア人の布地
子守唄
W. A. モーツァルト:
歌劇「フィガロの結婚」第4幕より
バルバリーナのカヴァティーナ“失くしてしまったの”
スザンナのアリア“早くおいで、美しい歓びよ”
エリック・サティ:
ブロンズの彫像
ダフェネオ
イザベル・アブルケル:
愛してる
【アンコール】
オッフェンバック:
歌劇「ホフマン物語」よりオランピアのアリア
“森の小鳥はあこがれを歌う”
ファリャ:
7つのスペイン民謡より
アストゥリアス地方の歌
アブケル:
愛してる
[ソプラノ] パトリシア・プティボン
[ピアノ] マチェイ・ピクルスキ
プログラム(五百円也)によりますと、大阪と4月12日の東京オペラシティ公演はAプロ、8日(名古屋、電気文化会館 ザ・コンサートホール)と10日(東京 王子ホール)はBプロ(モーツァルト作品がカントルーブの歌曲集「オーベルニュの歌」と差換え)だそうです。
ザ・シンフォニーホールのサイト、それから招聘元ジャパン・アーツのサイトにも、彼女の魅力はしっかり書かれていて、まったくその通りでありました。いくつものユニークな引き出しを持つ芸達者なソプラノのコメディエンヌ、という印象が強かったです。この日の演目はフランス、アメリカ、スペイン、ドイツの4カ国語で歌われ、深い叙情からコミカルなものまで色とりどり。スペインやアメリカのフォークロアふうメロディ、声の妙技が随所に聴かれました。それを時には、グルグル歩き回ったりちょこちょこ小走り、ぴょんぴょん両足跳びなどしながら息も切らさず歌い継いでいきます。ピアニストのピクルスキまで、演技に打楽器演奏にと忙しい。
また、ピアノの周りには小道具類がいっぱい。鐘、カスタネット、マラカス、小さなシロフォンから冗談みたいなおもちゃのメガネにピエロの付け鼻、クラッカー付きのおもちゃのガン、なぜか日本人タレントの特大ポスター…いやはや最後まで何が出るか油断なりませんでした。
私の座席は1階の前方ブロック。冒頭のアーンの作品は、様々な恋の叙情を歌うフランス語。中音域がホールいっぱいに広がってとてもインパクトが強かったです。たっぷりした声とピアノ、両者の残響がじゃまになって何が何だか分からなくなるところもあり。
続くコープランドの歌曲は英語。ここへきて、言葉が少しでも分かるというのは、作品の叙情表現がずいぶんはっきり感じられるものだなあと思いました。意味を知っている言葉によってイメージを描くことができるからです。フランス語やドイツ語では、こうはいきません。
この日のコープランド作品はゴスペルを彷彿とさせるものがあり、とても魅力を感じました。南部風鈴のような澄んだ高い音色の鐘をたたき、柄の付いたカスタネットを振りながら歌う「小さな馬たち」は、子守唄ふうに始まります。
“H〜aa〜shh(Hash)….”と喉に息をこすりつけるように発声する冒頭など、いかにもアメリカ南部の古い民謡ふう。惜しむらくは、カスタネットの音と椅子に腰掛けて前かがみで歌う姿勢が災いして、声が聞こえなくなったことです。この日は最後まで、「そんなに動き回らなくていいから、じっくり聴かせて」と思う場面が何度かありました。
モーツァルトは、もちろんよかったです。あの伴奏を聴くとホッとしました。上等の甘いクリーム。トゥリーナ作品「あなたの青い眼」で聴かせてくれたいかにもスペイン!なヴォカリーズのカデンツァもよかった。
肩の凝らない、私にとってはちょっと珍しい作品の数々、気さくでサービス精神旺盛なプティボン♪ 昼公演らしく、キュートでキッチュなコンサートでありました。
帰りに大阪環状線で鶴橋へ。商店街にコリアンの食材を売る店がいっぱいあるのだ。各種キムチとチシャ味噌を買う。環状線沿線、満開の桜も楽しみました。
本日の読書:
チャップリン暗殺
〜5.15事件で誰よりも狙われた男〜
大野 裕之/メディアファクトリー

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2008/5/22 13:51
BShiにて、2008年 5月26日(月)午前6:00〓午前6:55放送です。 ...