NYCB 2009 A&Bプロ  バレエ・ダンス

 バランシン。帝政ロシア末期にサンクト・ペテルブルクに生まれ、バレエ・リュスに参加後、アメリカに招かれNYCB(ニューヨーク シティ バレエ)の初代芸術監督に。

 先週末は、彼の作品をまとめていくつも観られるめったにないチャンス、NYCB公演のAプロとBプロを観に、渋谷のオーチャードホールへ行きました。
2009年来日公演公式サイト

 3つのプログラムのうち、AプロとBプロを選んだのは、バランシンがチャイコフスキーやストラヴィンスキーの音楽に振り付けたシンフォニック・バレエ、プロットレス・バレエ、そしてラトマンスキーがショスタコーヴィチの音楽に振り付けた「コンチェルトDSCH」が入っていたからです。

■Program A
セレナーデ

 振付:ジョージ・バランシン
 音楽:ピョートル・イリッチ・チャイコフスキー
    Serenade for Strings in C, Op. 48 (1880)
 弦楽器だけのオケピ。舞台上で演奏される時に比べてずいぶん控え目な音量。
 バレエ・シーンは、もっとドラマチックなものを予想していたので、ずいぶん薄口に感じた。特に、ヒルティン(?)が演じた中盤に男性を後ろから目隠しして登場するバレリーナは、倒れて取り残されるバレリーナに対して、「望みを奪い、連れ去ってしまうもの」といった情念を感じさせるのが好みなのだな〜。私は牧バレエのびわ湖公演、草刈民代さんがデフォルトなり。

アゴン
 振付:ジョージ・バランシン
 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
    Agon (1953-1956)
 作曲家と振付家のコラボレーション、音楽視覚化の極致、ワクワクしました。この曲を初めて聴くとき、それがバレエ公演の劇場だったというのは、贅沢な経験にちがいありません。ただ、公式サイトの演目解説にあるような「すさまじい」とか「爆発的な」という形容は、ちと疑問。

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ
 振付:ジョージ・バランシン
 音楽:ピョートル・イリッチ・チャイコフスキー
    Excerpt from Swan Lake, Op. 20, Act III, (1877)
 Bプロのタランテラとこのチャイパドは、技巧&溌剌系のパドドゥ。小柄なテクニシャンがスピーディかつエネルギッシュに、エンターテインメントに徹して見せてくれました。小粋な味わいが、プログラムのいいスパイスになってましたよね♪

ウエスト・サイド・ストーリー組曲
 振付:ジェローム・ロビンズ
 音楽:レナード・バーンスタイン
    West Side Story (1957) by L.Bernstein,
    lyrics by Stephen Sondheim.
 NYCBのもうひとりの重要人物、ロビンスの作品は、今回は「ウェストサイド・ストーリー組曲」しか観られませんでした。まあその〜、バレエ・ダンサーなりに健闘してたのじゃないかと思います。今年はブロードウェイ・ミュージカルの来日公演があったことですし(私は観ていませんが)、せっかくのバレエ団公演に、この演目はいかがなものかと。

■Program B
コンチェルト DSCH

 振付:アレクセイ・ラトマンスキー
 音楽:ドミトリ・ショスタコーヴィチ
    Concerto No. 2 in F Major, Op. 102 (1957)

バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト
 振付:ピーター・マーティンス
 音楽:サミュエル・バーバー
    Concerto for Violin and Orchestra, Op. 14 (1941)

タランテラ
 振付:ジョージ・バランシン
 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
    Grand Tarentelle for Piano and Orchestra,
      Op. 67 (ca. 1866)
    reconstructed and orchestrated by Hershy Kay

チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第2番
 振付:ジョージ・バランシン
 音楽:ピョートル・イリッチ・チャイコフスキー
    Piano Concerto No. 2 in G, Op. 44 (1879-80)
 これはアメリカン、それともインペリアル・ロシア? どっちなんでしょう?! 盛大で、美しく、キラキラしてフィナーレにふさわしかったです。

 私は、このバレエ団の公演を観るのは初めてでした。ダンサーのプロポーションが、私の独断的基準(ロシアバレエ大好き)を満たしてくれないところもありましたが、パフォーマンスはと〜っても気に入りました。さすが、バランシンのバレエを継承する学校つきバレエ団。コールドがよく揃っていました。ソリストのムーヴメントやラインもしかり。もちろん、体型や顔や動きのキレはみんな違うのですが…。

 ちょっと残念だったのは、劇場帰りの道すがら、好きなダンサーの姿や叙情的なシーンを何度も思い浮かべていい気持ちになっちゃう、ということがなかったこと。そして、2公演観ても、知らないダンサーばかりのバレエ団という印象は変わらずです。それがバランシン・バレエというものなのかしら。

 バランシンが振り付けた作品は、音楽を表現するもの(音楽の視覚化)と言われています。プログラムによると、バランシンのバレエは一言でいえば「モダニズム・バレエ」であり、それは古典バレエから物語性と地域性(ヨーロッパの香り)を削ったものだと、書かれていました。物語バレエのなかで、古典の技巧をケレン味たっぷりに見せるものではありません。

 ですから、ロシア帝政バレエへのオマージュとして創作された「チャイコフスキー・ピアノコンチェルト(バレエ・インペリアル)」でさえ、くっきりと白色灯で照らされた明るい舞台に新素材のきらめきと艶が舞う…といった印象でした。もちろん、こういうの好きですよ〜。

 それから、うれしいことに伴奏は新日本フィルによる生演奏。東京のことはよく知りませんが、このオーケストラがバレエ公演の演奏をすることって、めったにないのでは? もしかして2軍? とは思ったのですが、バレエの伴奏としてはこれまで聴いた中で一番よかったです。アンサンブルはバランスがよくて、嬌声を上げたり、もたつくといったことがありませんでした(除く「アゴン」パ・ド・トロワの木管)。また、ソリストはバレエ団が帯同してきました。

 プログラムによると、NYCB指揮者のファイサル・カルウィは、マーティンス芸術監督から「ダンサーのことは考えなくていい。君の好きなように演奏してくれ」という言葉を得たとのこと。彼はダンサーたちと、「早い・遅い」という言葉を使わずに音楽に関する対話を交わしている、とも。

 マーティンスの「バーバー・コンチェルト」と、ラトマンスキーの「コンチェルトDSCH」については、時間があるときに副サイトにでも。
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