ふりかえる日 CD・レコード
ひさしぶり、私のPartita.
家族が楽しみに待っていてくれるので、今年もシュトーレンを焼く。いつもはもう少し早くするのだけれど、今年は平日が忙しいので、休日にまとめて。
粉を買い、レシピを整理し、ぬかりないようにシミュレーションし…気分が乗ってくるまで、少し気が重い。
1回目は作り方やコツを思い出しながら。
さて、音楽は何にしようか。いつもは舞曲なのだけれど、今日は1日で4回焼き。はじめから飛ばすと持たないよ。ローカルFM局の番組でも流しっぱなしにしとこうか?
でもまてよ…と、選んだのはベートーヴェンのピアノソナタ。CDラックを眺め、思いの外いろいろ買い集めていたことに気づき、ジャケットを見ているうちに懐かしくなって。ほんの3年かそこらの収集なのだけれど、買い始めた頃がずいぶん前のことのように思える。
なかなかよいな、年末のこの祭日。数十分の発酵時間に年賀状を作りながら焼ける。
BEETHOVEN:PIANO SONATAS GULDA
まずはフリードリヒ・グルダ、1957年ロンドンでの録音。「月光」、「田園」、「ワルトシュタイン」の3曲。
喜んでくれる人がいる幸せ、それを味わうためにはじめたことなのに
、重〜い第1歩を踏み出した気分そのままの「月光」第1楽章…に感じられたよ、私には。
外連がない。楽譜に書かれたことを淡々と鍵盤に写していくような始まり、かな。風のない月夜に、葉陰の小径をどこまでも歩いて行く人に寄り添うような静かな叙情を感じる。
グールドの演奏する第1楽章は、月光がさざ波の立つ湖面に休みなく煌めく情景がたちまち浮かんでくる。その鮮やかさときたらもう…。さらさらと流れていく時間が心地よくて、吸いこまれるように虜になってしまう。それが好きだったけれど、今日の気分にはグルダがいい。
グルダは第2楽章も声高な感じがなく、そっと歌い始め、幕間の間奏曲か劇中の楚々とした挿入歌のように去っていく。
3楽章Presto agitato は低音部の音が心地よく、舞い上がるのはまだまだ〜といったところ。ピアノの音に、よく締まった太く真っ直ぐな木を打つような質感があって、ひとつひとつの音がはっきりと打鍵されて聞こえてくる。潰れたような和音に荒っぽさを感じるけれど、音盤の冒頭にふさわしい落ち着いた気分にさせてくれる演奏だと思う。余談だけれど、パイ・シートを焼くとき、膨れすぎないように小さなアルミ粒の重石を乗せるのだけれど、今日はグルダの演奏を聴きながらそれを思い出したよ。タルト・ストーンとかいう…。
音盤ラストのワルトシュタインも、グルダの演奏そのものに華やかさは感じないのだけれど、第3楽章の Prestissimo を聴いているうちに、何かしらじわじわと思い浮かぶことがある。
ワルトシュタインさんって、華麗な人だったらしい…
演奏しているグルダの情感ではなくて、ベートーヴェンがワルトシュタインの名を呼び、讃えているような感情の迸りのを感じるのさ…
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家族が楽しみに待っていてくれるので、今年もシュトーレンを焼く。いつもはもう少し早くするのだけれど、今年は平日が忙しいので、休日にまとめて。
粉を買い、レシピを整理し、ぬかりないようにシミュレーションし…気分が乗ってくるまで、少し気が重い。
1回目は作り方やコツを思い出しながら。
さて、音楽は何にしようか。いつもは舞曲なのだけれど、今日は1日で4回焼き。はじめから飛ばすと持たないよ。ローカルFM局の番組でも流しっぱなしにしとこうか?
でもまてよ…と、選んだのはベートーヴェンのピアノソナタ。CDラックを眺め、思いの外いろいろ買い集めていたことに気づき、ジャケットを見ているうちに懐かしくなって。ほんの3年かそこらの収集なのだけれど、買い始めた頃がずいぶん前のことのように思える。
なかなかよいな、年末のこの祭日。数十分の発酵時間に年賀状を作りながら焼ける。
BEETHOVEN:PIANO SONATAS GULDA
まずはフリードリヒ・グルダ、1957年ロンドンでの録音。「月光」、「田園」、「ワルトシュタイン」の3曲。
喜んでくれる人がいる幸せ、それを味わうためにはじめたことなのに

外連がない。楽譜に書かれたことを淡々と鍵盤に写していくような始まり、かな。風のない月夜に、葉陰の小径をどこまでも歩いて行く人に寄り添うような静かな叙情を感じる。
グールドの演奏する第1楽章は、月光がさざ波の立つ湖面に休みなく煌めく情景がたちまち浮かんでくる。その鮮やかさときたらもう…。さらさらと流れていく時間が心地よくて、吸いこまれるように虜になってしまう。それが好きだったけれど、今日の気分にはグルダがいい。
グルダは第2楽章も声高な感じがなく、そっと歌い始め、幕間の間奏曲か劇中の楚々とした挿入歌のように去っていく。
3楽章Presto agitato は低音部の音が心地よく、舞い上がるのはまだまだ〜といったところ。ピアノの音に、よく締まった太く真っ直ぐな木を打つような質感があって、ひとつひとつの音がはっきりと打鍵されて聞こえてくる。潰れたような和音に荒っぽさを感じるけれど、音盤の冒頭にふさわしい落ち着いた気分にさせてくれる演奏だと思う。余談だけれど、パイ・シートを焼くとき、膨れすぎないように小さなアルミ粒の重石を乗せるのだけれど、今日はグルダの演奏を聴きながらそれを思い出したよ。タルト・ストーンとかいう…。
音盤ラストのワルトシュタインも、グルダの演奏そのものに華やかさは感じないのだけれど、第3楽章の Prestissimo を聴いているうちに、何かしらじわじわと思い浮かぶことがある。

演奏しているグルダの情感ではなくて、ベートーヴェンがワルトシュタインの名を呼び、讃えているような感情の迸りのを感じるのさ…


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