今日は大急ぎで新しく図書室に入って来た本をピックアップし、拾い読みをし、半日で集中して5点のレビューを書いた。さすがにぐったりする。でも充実。
職場のHPにアップするためのブックレビューだ。半年ぶりのブックレビュー仕事になる。いや、もっと空いているかも。とにかく記憶が忘却の彼方になるくらい前に書いた、ということは確か。
ノルマではなく仕事の切れ間にやる自主的な「趣味の仕事」なので、どうしても不定期になってしまう。それでもレビューをアップすることで、ものすごいマイナーな本が動いて貸出されるときには、心の中でガッツポーズだったりする。
言語学者による中国の少数民族を調査した明るく元気なフィールドワークとか、もともと武士のものだった「茶の湯」がどうして花嫁修行として女性に流布したかという茶の湯の変遷とか、ビンボー建築学者の住まいに関する地に足の着いたスローライフなエッセイとか。この辺はちゃんと回転していた。
もともと「誰が読むんや?」という超マイナーな本が多い図書室なのだけれど、著者や書名の知名度は低くても、見かけは地味でも、意外なくらい「あれ? 面白いやん!!」という本がある。
逆に、お洒落な写真や誘い文句とは裏腹に、膝カックンするほど拍子抜けする本もある。今日も選んではみたけど、結局レビュー書けへんなーと却下したのが何点かあった。新刊のブックセレクトは博打に近い。
ほとんどが新刊なので、セレクトの時点ではまず読んでいない。長年の勘と嗅覚と「かつて読んだかもしれない書評の記憶」をたよりに本を集めていく。
本を積み上げPCの前に座り、おもむろに目次と前書きとあとがきで内容を把握し、拾い読みをしてみる。小説は無理だけど、人文系と人生実用書やルポなら、これで大体の内容はわかる(と思う)。めったにないけど超ラッキーなときには、拾い読みで感動したりすることもある。
ところで本日拾い読みをして、久々に笑った本があった。
山口文憲さんの『団塊ひとりぼっち』(文春新書 890円+税)。
エピローグでは、おお〜、こうくるか〜、小田和正をこう料理するかーとウケまくった。団塊本はいろいろあるけど、それらとはまったく別ジャンルに分類したい団塊漫談。面白いです、これ。今日のおすすめ。
どこが面白いのかは、これから読む人の新鮮な楽しみを奪いかねないのであえて書かない。目次と前書きを読めば、分かる人には分かる。ぜひ自分の目で読んでいただきたい。「文憲テイスト」の文章自体が人を引きずり込んでしまうのだ。現に私は「前書き」の最初の2行で抜けられなくなった。
どれくらい面白いかといえば、私が拾い読みではあきたらず、思わず借りてしまったくらい。仕事中の思わぬ拾い物だった。
家に持って帰り、じっくり笑ってやろうと目論む図書館司書なのでした。

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