運動音痴で私が10代に人並みに出来た運動といえば、「縄跳び」くらいだった。
遊びでなら、バドミントンやピンポンも子どもたちとお手合わせしている。
だからスポーツ観戦にも全く興味が無く、逆にスポーツ観戦にエキサイトする夫・H氏が、息子Tくんのスポーツ関係全般に関わった。少年野球のお手伝い、甲子園にも随分出かけたし、西武ドームまで足を伸ばした事もある。
夫婦で真逆の嗜好や趣味や性格だと、役割分担がスムーズに行え便利だったりする。
といって、Tくんもどちらかといえばスポーツは得意な方じゃないような気がする。でも幼稚園年中で「箱根駅伝」にのめり込み、小学校2年生の夏休みに高校野球に目覚め、世間より1歩リードして大リーグにはまった。その辺まではかっこよかったが、いまはおっさんのように競馬と相撲を好んでいる。
私は新聞のスポーツ欄も全く読まないので、Tくんに「一番面白いところを、なんで読まへんの?」と非難された事もある。非難されても相変わらず見出しさえ読まずにめくって、家庭欄(だった?)に急ぐ。
そんな私もひとつだけ、ちょっと興味のあるスポーツがある。
何年も前のことだが、なにげなくテレビをつけていた土曜の昼下がりだった。合気道の名人の古い映像が流れ、相手に触れる事無く「気」だけで投げ飛ばしているのをみて、「おおお〜!!!」と感嘆した。これは一体なんじゃらほい、である。
しかし、一番の驚きはラストの名人の言葉だった。記憶が曖昧なので、細かい所は誤差があるかもしれないが、名人が「究極の合気道とは?」ときかれ、「私を殺しにきた相手と、親友になることです」。
この後、市内にある「合気道教室」の看板に尊敬と憧れのまなざしを送るようになった単純な私であった。

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