今日、職場でメールチェックをして、いつものように自動的に専用ファイルに入りそびれた迷惑メールをチェックしていたら、初めてのパターンのメールがあり、しばし見入ってしまった。タイトルは「a」。
メールを開かなくても中味が覗けるので分かったのだが、中の文章も「a」の一文字。添付ファイルもなく、どういう意図の「迷惑」なのかもわからず、しばし戸惑う。この「しばし戸惑う時間」欲しさに意表を突いたのか? だったら、しっかり思う壷にはまったわけである。ちょっと、くやしい。
しかし「転んでもタダでは起きない」を座右の銘とするヒトである。しかも近江商人の本拠地で仕事をしているのである。だから意地でも今日のネタにつないで行く事にする。
福音館書店の幼児向け月刊誌『こどものとも 年中向き』の写真絵本に
『あ』(大槻あかね 2005年1月号 226号)という異色の絵本がある。福音館の月刊誌はチャレンジャーであり冒険野郎なので、企画だけでも「あっ!?」と驚くことがあるが、そんな「あっ!?」の中でも、これはひときわ際立っているかもしれない。
表紙はシンプルなハリガネ人形が走っていて、後ろに影が長く伸びている。次のタイトルのページも、おなじくハリガネくんが立ち止まって、影が伸びている。それだけなのに、どちらのハリガネくんからも、ココロが溢れているのだ。
「あ!」と何かに向かって一生懸命(やや楽しげに)走っているのと、なにかを見つけて思わず立ち止まった(やや呆然)のと。
丸い顔と手足先に捩った胴体と手足だけの、ごくシンプルなハリガネくんなのに、実に表情豊かなのだ。しかも「へうげもの」(剽軽者)感が充満している。今風の脱力感に、くす、と笑う。
彼が出会うのは、把っ手付きのカラのガラスのコップ、ホーローの薬缶、逆さまのマヨネーズ、綿棒etc.である。彼が口にする言葉は「あ」「ひょ」「よ」「は」「む」などである。ここまでで半分くらい。その後にも、いろんなモノに出会い、間投詞を発したりするのだ。
そして「それだけ」なのである。物語が始まる訳でもなく、オチがつくわけでもない。でも、だらけてはいない。きっちりと脱力するとは、ウルトラCである。このテイストは、『ココロミくん』を書いた、べつやくれいさんに通じるものがあるかもしれない。(蛇足だが上記べつやくれいさんは、劇作家、別役実さんのお嬢さんだと昨日知った)
ただ一つ、難点が。「あ」っていう絵本をネット検索するの、とっても難しい。

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