『へうげもの』第5服(巻)を読む。
華麗、ゴージャス、舶来趣味で、数寄者としても大名たちのカリスマだった織田信長。彼亡き後、趣味悪過ぎの豊臣秀吉についてゆくことになる古田織部は、数寄で天下を取ることを自分に誓う。彼が最終的に越えなければならない壁は巨人・千利休。
という流れになってきて、古田織部の数寄者としての「名声」はどんどん広まっていくのだが、そして本人もトップ・オブ・ザ・数寄に近づいていると自信満々なのだが・・・。
金子を惜しまず金策に走り回り、彼がやっと建てた聚楽第の住居は、どうも大勘違いだったみたいで。あのずばっとした物言いが冴える千利休さえ、ホントのことを言ったら古織(古田織部)は大ショックだろうから可哀想すぎて言えないよ〜、と困惑する。それもオリジナルならまだしも、物真似でしかない。
しかも古織はそんな師匠の困惑顔にすら「ぐひひ、師匠がわしの侘び寂びの境地の高さに妬いておられる」と勘違いをさらに続投。
締めは長谷川等伯の襖絵で、今回のクライマックスである。長谷川等伯は有名な『松林図』の屏風絵の人である。『松林図』は「わびさび」の極致といわれている。
しかしこの襖絵の連なりには、古織ならずとも、のけぞるのけぞる! えええ〜〜っ、あの長谷川等伯がなぜにこんな現代アートを!??とのけぞった後、受けまくって爆笑! 作者、遊びすぎ(笑)
侘び寂びのはずが、現代アート襖絵になり、激怒する古織は長谷川等伯に向け刃を抜く。しかしそこで千利休が「これはよい」と一言。
「ものまねでない古織さまらしさがあります」と絶讃するから、緊迫する画面は一転、『いなかっぺ大将』っぽく笑って誤摩化す古織に場面転換。
そして以上のストーリーの章タイトルは、『カモナ・マイ・聚楽』。『カモナ・マイ・ハウス』というジャズのスタンダードをもじってある。
ちなみに今回初登場、在野のキング・オブ・数寄者「ノ貫(へちかん)」は、私とKちゃんの大のお気に入りキャラ。そこにいるだけで和む(または笑える)キャラです。

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