先日聞いた少し昔の話。
東京でなにかのデモ行進があったとき、マイクを持った人が「
シュプレヒコール!」と叫び、その他大勢が「おーーー!!!」と呼応するという行進があったそうだ。
しばらく歩くうち、マイクの男は「ワシ疲れたし、替わって」と隣にいた若い衆にマイクとスピーカーを手渡した。が、なにしろ若い衆はデモ初体験である。学生時代に多かれ少なかれ学生運動に関わったオッサンとはわけが違う。私だって「シュプレヒコール」って言葉は中島みゆきの歌(『世情』)でしか聞いた事がない。
「なんて言ったらいいんでしょうか?」とおそるおそる尋ねる若い衆に、オッサンは
「『シュプレヒコール!』っていうんや。簡単やろ?」
「はい、やってみます」と緊張の面持ちでマイクを受け取る若い衆。
そして若い衆が元気のいい大声で叫んだのは
「出撃コール!!!」
若い衆の頭の中で「シュプレヒコール」は漢字変換されていたのだ!
デモ行進をする群衆の頭の上には無数の「?(くえすちょんまーく)」が吹き出し、数人は爆笑し、あちこちから小声でまばらに
「おー」
「おー」
「おー」
と呼応したらしい。
うーん、「シュプレヒコール」って、ほとんどNHKの大河ドラマの合戦の場面であがる「ときのこえ」みたいなもんかも。「ときのこえ」はたしかに「出撃コール」だもんな。

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