そう、H氏は、アオイレコード店に入って、マニアの世界に没頭してしまったのだ。昭和の懐かしいレコードが山積みされている(例えば『こんにちは、赤ちゃん』とか、黛ジュンとか夏木マリとか)のをチェックしている。
最初から時間がかかりそうだというのは明白だったので、店のそとをぶらぶらした。細い道の割に高速で突っ走る車、なだらかに傾斜した土地、東側には琵琶湖のさざ波、反対側は山(比良山系?)だ。
道沿いに建った昔からの静かな家々が、時に取り残された感をかき立てる。車に戻って『考える人』の最新号を読み、ほどなく眠りの世界へ。ふと目を開けて時計を見れば『アオイレコード』に到着してから、1時間ばかり経過していた。
1時間、車に妻放置。真夏の炎天下ならアブナい所だった(笑)
こんな滋賀県のハズレまで来て、こんなことをしている場合ではない!と、突如思い立って、ドアを開け、元来た道を歩き出す。実は単に飲み物が欲しくなり、自販機を求めて歩き出したのだが。
しかし、行けども行けども、民家ばかり。かなり古そうな『大国主神社』というお社に立ち寄る。境内一面に森閑とした、けれどものすごいような気配。腕の産毛が立つような、変質者の2、3人は潜んでいそうな(!!)、こわいような空気が漂う。なら、行かなきゃ良いのに、しっかり奥のお社まで行き、からんと鉦を鳴らしてお参りをする。ああ怖かった。『源氏物語』で、夕顔の家に恐ろしい気配が立ちこめて、夕顔がはかなくなってしまうところを思い出した。
なおもしつこく歩く。すると酒屋さんを発見。酒屋さんの前に、自販機を発見。そのとき私は所持金の最高金種が10円玉だったことを思い出した。ショック〜! 困った。
が、ふと鞄のサイドポケットの中に入っている茶封筒に、500円玉が入っていることを思い出した。ラッキ〜!!
貧しいときには、ケチケチ根性が全開になっているので、100円なのに500CC入りという超お得な『スコール』を買ってしまう。買ってから「しまった、缶だから飲みきらないと邪魔でしょうがないやろー!(泣)」ということに気付く。
結局、来る時に最終的な目印ポイントだったセブンイレブンまで歩く決意をする。30分あればいけるはず。
たどり着いたコンビニで、私はかつてbraryさんがブログでご紹介くださった
「サッポロ一番の初の袋入り アラビヤン焼そば」を発見。1食分の袋とビッグなカップ麺があり、ビジュアルの大きいビッグを買う。1967年に初登場したものであるらしい(しかし家族のだれも興奮してくれず、がっかり)。
という風に、私はレトロ昭和食品を、夫はレトロ・レコードをゲットし、2時間弱後にメールや携帯で連絡を取り合い、めでたく再会したのであった。

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