梅佳代の最新の写真集、
『じいちゃんさま』(リトル・モア)は梅佳代の家族たち、なかでもメインはおじいちゃんに焦点を当てた写真集である。
このおじいちゃんのノリのよさは、うらやむべきである。曲がったきゅうりやバナナを頭に載せたりして、どや、おもしろないけ?とばかりに、悪戯っぽい目を輝かす。梅佳代の妹さんが愛・地球博でモリコロがアンテナのようにびよよんとついたカチューシャをしていれば、次のページではおじいちゃんも、それを貸してもらってチーズと微笑む。
しかも梅佳代をはじめとして、お孫さんたちはおじいちゃんが大好き! 妹さんがおじいちゃんに後ろから抱きつき、はげ頭のてっぺんにキスを繰り返し、いっしょのお布団にはいったりと、その熱愛ぶりをこれでもかと見せつけてくれる(笑)
梅佳代の弟さんと白いワンちゃんとのスリーショットでは、手押しの一輪車にのったり、それがひっくりかえったりした写真まで撮られており、じいちゃんさまのサービス精神満開。
しかしこの梅家のひとびとの大物振りをかいま見せてくれるのは、キンチョールが大好きというおじいちゃんのキンチョールシリーズである。トヨエツも負けそうな宣伝効果である。
おじいちゃんは、キンチョールでムシをやっつけるのが大好きなのだ。1匹のムシをやっつけるのに、キンチョールを半分!!使ってしまうそうなのだ。絨毯に出来た染みを拭かねばならない程、執拗にキンチョールシャワーをムシに浴びせるのだ。この太っ腹で豪快な使い方なら、キンチョール関係の人々が泣いて喜びそうなお得意さんであろう。
キンチョールの関係者の方々は泣いて喜ぶだろうが、梅家のひとびとは内心心穏やかでないのでは・・・という予測は見事に外れる。1匹の蟻をキンチョールを半分使ってやっつける、というコメントを、梅佳代は、可愛くってしょうがないと、さもいとおしそうに書いているのだ。人間のスケールがちがう。
せせこましい現代人の思惑なんか束にしてまたいでしまう梅佳代のお茶目な大物感は、このおじいちゃんの血を引き継いでいるからなのだ! この爺にして、この孫娘あり! 梅佳代のルーツを知る上では欠かせない写真集である。観る人だれもを笑顔にするウメカヨ写真は、一緒に居るだけで、その挙動を見ているだけで幸せになる「じいちゃんさま」と、彼をとりまくゆかいな人々との暮らしが原点だったのだ。
そうそう、梅佳代の実家のお家の素晴らしさも、とくとご覧下さい。

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