「サンクトペテルブルク・アカデミーバレエ「ロミオとジュリエット」」
St. Pet. アカデミーバレエ
ロシア国立
サンクトペテルブルク・アカデミー・バレエ
ロミオとジュリエット
日時:2011年10月23日(日)16時開演
会場:いたみホール(伊丹市立文化会館)大ホール
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ユーリー・ペトゥホフ
キャスト:
ジュリエット:アンナ・ボロデューリナ
ロミオ:アレクサンドル・ピャトフスキー
ティボルト:マキシム・トカチェンコ
ジュリエットの乳母:イリア・オシポフ
パリス:ヤン・ナム
マキューシオ:アレクサンドル・アバトゥーロフ
ベンヴォーリオ:セルゲイ・フェドーコフ
運命の女王モーブ:ユーリア・イリナ
先ず言わなければならないのは、この作品が「翻案・ロミオとジュリエット」だということです。作品の核は、なんといっても「運命の女王モーブ」。その他にも、ペトゥホフ独自の解釈や脚本にもとづき、精霊の一団(モーブのとりまき)がしょっちゅう登場したり、モーブや精霊のための耳慣れない音楽(プロコフィエフのアレンジやら、作者不詳のオリジナルやら)が使われていたりと、独自路線まっしぐらでした。
シェイクスピアが草葉の陰で泣いてるかもしれませんが、エイフマン・バレエから移籍した長身のバレリーナがモーブを好演しました。動きはグリゴローヴィチの「石の花」の女王を彷彿とさせるものがあり、顔の表情やキャラクターは、ブルノンヴィルの「ラ・シルフィード」のマッジといったところ。彼女の活躍もあって、最初は「じゃまっ!」と感じた精霊たち、ティボルトとマキューシオのややこしい決闘の場面、不意打ち反則のようなロミオの死、そしてなによりロレンス神父の不在を、「それもあり…か」と、許容させられちゃいました。
マリインスキー・バレエ団のプリンシパル・ダンサーから転身した(バレエ団のサイトから名前が消えてしまった)ファジェーエフ芸術監督は、プレ・トークの最後に「少し悲しい気持ち」を抱いて劇場をあとにしてください、など。
さて、幕が開くと…
紗幕の向こうに立つモーブのソロ。大きく見開かれた目は何か言いたげ。客席に向かって、しきりに物語の「弁者」を標榜しているかのようです。長身、ひきしまった美しい筋肉質の身体に、ぴったりした黒いエナメルふうユニタードは大胆なカッティングが扇情的。「ゲイジュツより若いバレリーナとジャンプがカッコいいイケメンを見たい」と言ってついてきたツレは「最初、男かと思った」と。エイフマンのバレリーナを見たことないのよね。
やがて舞台一面の白い布が取り払われると、男女8(10?)人ばかりの精霊たちが動き出します。男性はベージュのショートパンツ、女性はノースリーブのレオタード。舞台セットは中央奥に大きな振り子、その両側にロミオとジュリエットが仰向けに横たわっている(もうはや登場!?)ブランコふうの板。舞台前方の両側に、長〜い角材が各4本ほど、場面によって斜めに立ち上がったり下がったり。プログラムとは別に、入場者全員に配布されたファジェーエフのあいさつ文によると、「運命の振り子、善と悪、光と影のシンボル」だそう。
運命の神である女王マーブが支配する世界でロミオとジュリエットの魂が出会い、自分たちの運命の愛、そして死について語りはじめるというプロローグです。
続きはまた後日。

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