早船ちよさんの生誕100年のつどいに参加して
週刊上田「陽葉」2014.8.6掲載
『キューポラのある街』シリーズで知られる作家・早船ちよさんの「生誕100年のつどい」が先ごろさいたま市の北浦和駅近くで行われ、編集や出版に関係した呼びかけ人のひとりとして参加しました。
『花どけい』『山の呼ぶ声』『ポンのヒッチハイク』『トーキョウ夢の島』『いのち生まれるとき』ほか、早船さんの児童文学作品を学校図書館などで読んだ記憶をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
『母系の海』『飛騨の四季』『ちさ・女の歴史』全6巻など一般書話題作も数多い作家で、小宮山量平さんの理論社がホームグランド出版社でした。早船さんはまた、「児童文化の会」や雑誌「新作家」などを主宰、赤木由子さん、菊池澄子さん、中野みち子さん、吉田タキノさんら児童文学の中堅作家が大勢飛び立ちました。
当日私は、上田のエディターズミュージアム所蔵の「早船ちよさん関係の資料」各種を紹介しました。早船さんの郷里・岐阜県飛騨市には、「早船ちよ館」があります。(F)
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前記「陽葉」(週刊上田8月16日号)を書かれたFさんは、元理論社社員で、前週刊上田編集長の深町稔さんです。
「早船さん関係の資料」はミュージアムの中の“早船さんの棚”に展示されています。
小宮山量平あての手紙、約20通、ハガキは50通を超えています。
理論社で刊行された作品の他、昭和36年に弥生書房から刊行された『キューポラのある街』もあります。その他、新聞に載った書評等々切り抜き、又『キューポラのある街』に続いて『未成年』に主演した時の吉永小百合さんと早船さんが語りあっている写真や数々のスチール写真も・・・・・・。
早船さんの右隣りは、いぬいとみこさんの棚、上には住井すえさんの棚、さらにその上には吉田としさんの棚、ななめ上には神沢利子さんの棚、その下には庄野英二さんの棚。
それぞれの方の作品と手紙と資料から、作家と編集者がどのように向き合い、ひとつの作品を生み出していったかを探ることができます。
作家にとって編集者がどのような存在であったか、“編集者のミュージアム(エディターズミュージアム)”ではそのことを見ていただけたらと思っています。
灰谷健次郎さん、椋鳩十さん、倉本聰さんの棚も・・・・・・。
児童詩誌「きりん」の棚もあります。
生前の小宮山量平がミュージアムのパンフレットに記したことばです。
“(前略)本棚から毎日誰かが甦ってきて私とあそんでくれることでしょう”
エディターズミュージアム 代表 荒井きぬ枝