故 灰谷さんとの旅紹介
上田で写真家の石川さん講演
信濃毎日新聞 2010.6.8 掲載
2006年に72歳で亡くなった児童文学作家、灰谷健次郎さんの作品を数多く出版した編集者で作家の小宮山量平さん(94)=上田市=らは5日夜、灰谷さんを思い起こす講演会「卯(兎)の花忌」を上田市天神のエディターズミュージアムで開いた。
市内外から100人余が来場。ベトナム戦争を取材した報道写真家の石川文洋さん(72)=諏訪市=が2時間ほど、灰谷さんと歩いたアジア各国の思い出を話した。
「卯の花忌」は小宮山さんの誕生日(5月12日)を祝う機会にもなっている。小宮山さんは冒頭にあいさつし、「石川さんは、灰谷さんの晩年に最も親しく旅をした人です」と紹介した。
沖縄県出身の石川さんは講演で、1997〜2000年に灰谷さんと一緒に訪れたタイやベトナムなど9カ国で撮影した写真のうち、72枚をスライド上映。「米軍基地を撤廃したフィリピンで、2人とも沖縄の基地撤廃への思いを強くした」「灰谷さんは子どもと日本語でままごとをした。それくらい現地に溶け込んでいた」などと話した。
小学校教諭の関由三子さん(42)は、埼玉県日高市から来場。「(東南アジアなどに行っても)日本語で話ができる灰谷さんはすごい。良い話を聞けました」と喜んでいた。