7月に舞台 倉本聰さん講演
現代日本の「平和」を問う
信濃毎日新聞 4月12日 掲載
テレビドラマ「北の国から」の作者で脚本家の倉本聰さん(76)が11日、上田市大手の梅花幼稚園で講演した。倉本さんの舞台「歸國」を7月10日に市内で信濃毎日新聞社と主催する市民有志の実行委員会が企画。倉本さんは、戦死した日本兵の霊が現代の日本に戻るという歸國の粗筋を紹介し、「兵士たちは平和を願って死んだはず。今の私たちの暮らしは彼らが望んでいた平和なのかという問いをテーマにした」と語った。
市内外の100人余が参加。講演は、倉本さんの作品を多数出版した市内の編集者小宮山量平さん(94)、歸國に登場する同市古安曽の戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主の窪島誠一郎さん(69)と語り合う形で進んだ。
小宮山さんは「第2の敗戦とも言えるような震災が起きた今こそ、日本という国は帰るべき祖国なのか、一人一人が問い直す時。倉本さんは歸國という良い芝居を作ってくれた」と述べた。
倉本さんは「昔は一家に1台だったテレビが今は一人に1台。ビデオもある。(一緒に見て)感動を共有することが難しくなっている」とし、原子力発電などに支えられた現代の「便利な生活」を批判。窪島さんは「自分はまさに今批判されたような生活をずっと続けてきた。たまたま絵が好きで始めた無言館が評価されると、後ろめたい気持ちもある」などと応じていた。
