灰谷健次郎さんの姿振り返る
上田「卯の花忌」永六輔さん講演
5月17日 信濃毎日新聞 東信覧 掲載
2006年に亡くなった児童文学作家、灰谷健次郎さんの作品を出版した上田市の編集者、小宮山量平さん(95)らは、15日、灰谷さんを思い出す「卯(兎)の花忌」を上田駅前のエディターズミュージアムで開いた。
灰谷さんと親交があった作家の永六輔さん(78)が講演。子どもの視点を大事にした灰谷さんの姿勢を振り返り「大人は分かったつもりでいることが多い。変だなと思った時に『変だ』と言うことは、とても大切」と訴えた。
東日本大震災の被災地支援をめぐり、永さんは自らが呼び掛け人代表を務める「ゆめ風基金」(大阪市)で障害者施設を支援していることを紹介し「困っている施設側に手を挙げてもらい、既に2億円を届けた」と説明。「日本赤十字社とNHKの義援金は公平に分けようとするから、被災者に届くまでに時間がかかる。そういう面も広く伝えるべきだ」と指摘した。
卯の花忌は灰谷さんの代表作「兎の眼」にちなんで命名。生前、灰谷さんが小宮山さんの誕生日(5月12日)を祝うことを楽しみにしていたため。08年から毎年この時期に開いている。ことしは市内外から100人余が来場した。