2006/6/4

リップ LIPP  食 Gastronomy
釣りには行けなかったが、気持ちの良い日だった。久しぶりにリップLIPPに出かける。戸端口の席に腰掛け次々と流れ込む来店客を観察するのは、下手な観光をするより余程面白い。土曜の昼下がりには、地元の常連客が次々と訪れる。気取らぬ店とは言え、店に敬意を表した身づくろいで訪れる。いかにもうるさがたな人相も、この店に一歩足を踏み入れるとたんに表情が和らぐのが見て取れる。

メニューを受け取ると、Perles Blanches No.4という文字が目に飛び込む。白い真珠と言う名の牡蠣だ。スターターは迷わずこれを半ダース。メインはちょっと迷ったけれど、Gigot d’Agneau Rôti子羊腿肉のローストに決めた。

リースリングの白ワイン、そしてほどなくして小粒な牡蠣がテーブルに運ばれる。レトゥーlaiteuxな牡蠣の深い味わい。アンペッカーブルimpeccable。

ボルドーの赤ワインがやってくる。そして、ビストロなソースに包まれた羊肉とフラジョレ豆の相性の良さに驚きを覚える。

この名店には、ジャンパー姿の観光客も時折紛れ込んでくる。ロンリープラネットを手にした長身の若者もその一人。席に着くなり、ガイドブックとメニュー並べて、メニュー解読に懸命になっている。

今日もこの店は自分の期待を何ら裏切らなかった。味もサービスも。べたっとしない、つかず離れずのサービス、しかも目は届いており気が利いている。自然体とか当たり前ということは難しいものなのだ。美食の都パリでこれはと思う店に出会ったことは数知れない。でも、その大半は年月を経ると、サービスがスレたり、経営や料理長が変わって味が落ちたり。その度に味わう失望感。この店に足を向ける度、まだあの店は変わっていないだろうか、期待と不安が胸で交錯する。願わくはどうかこのままで。

久方に和んだ気分で外に出ると、夏の陽射しだった。いかにもパリの店らしくいつもは愛想に欠けるパン屋が、店にはいるなりニッコリと笑いかけた。肉屋も、八百屋も、今日はなぜか皆、ご機嫌だった。
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