見直しましょう“果物” ダイエットに効果 生活習慣病を予防(産経新聞)
スーパーマーケットなどの売り場にはさまざまな果物が並ぶが、日本人の果物離れが進んでいる。日本人の果物摂取量が年々減っている。今や先進国では最低水準となり、特に20、30代で極端に少ない。果物は生活習慣病の予防に効果があることが明らかになっている。ミカンやリンゴのおいしい季節。生産者や研究者らは「嗜好(しこう)としてばかりでなく、毎日200グラム、ミカンなら1日約2個、リンゴなら1日約1個は食べてほしい」と呼びかけている。
減り続ける摂取・厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、国民1人の1日当たりの果物摂取量は平成16年、119.2グラムで、昭和50年の193.5グラムから年々、減っている。
年代別にみると、60代で165.8グラムなど高齢層で多く、1〜6歳は121.6グラム、7〜14歳も120.5グラムと低年齢層でもある程度食べられている。しかし、20代で77.4グラム、30代で63.1グラムと、1〜14歳の3分の2〜半分程度だ。
摂取量が減っている理由について、財団法人「中央果実生産出荷安定基金協会」(中央果実基金)の需要促進部長、野田知広さんは「今の若い世代は皮をむいたりするのを面倒と考えがち。清涼飲料水の普及も影響している」としたうえで、「ダイエットブームのなか、果物は甘いので太りやすいという誤解がある」と話す。
中央果実基金によると、果物100グラム当たりのエネルギー量はショートケーキの約15%で、200グラムでも1日所要量の4%相当の約80キロカロリーにすぎない。果物は水分や食物繊維が多く、低カロリーでありながら満腹感を得られるため、「食前に食べると主食の摂取量が自然と少なくなるため、ダイエットに効果的」と啓発している。
血糖値上げない・「果物を毎日、適量食べることは、糖尿病や心臓病、脳卒中の予防に効果的」。こう話すのは、独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構」の果樹研究所上席研究員、田中敬一さん。
血糖値の急激な上昇は、肥満や糖尿病の要因になる。高血糖はまた、心臓病や脳卒中を招く恐れもある。以前は、ブドウ糖などの過剰な摂取は抑え、デンプンなどから糖分を取る必要があると考えられていたが、最近の研究では、デンプン食品よりも果物の方が血糖値を上げないことが分かってきたという。
日本糖尿病学会も、糖尿病患者に対し、1日80キロカロリーの果物摂取を勧めている。田中さんは「医師の中にも依然として果物の糖が糖尿病を誘発するリスクが高いと考えている人がいるが、それは誤り」と指摘する。
200〜300グラムどうぞ・ビタミンやミネラル、食物繊維の供給源という印象の強い果物だが、“健康パワー”もある。田中さんの果樹研究所の実験では、被験者14人に果物の中で比較的多く果糖を含むリンゴを1日420グラム、3週間毎日食べてもらったところ、12人の中性脂肪値が低下。平均で21%減少したという。
世界がん研究基金と米国がん研究財団は、果物の摂取により、がんの発生リスクが減ることを報告している。特に日本人に多い胃がんの場合、果物を毎日300グラム食べる人は50グラムしか食べない人に比べ、リスクが半減するという。
一昨年には、厚労省と農林水産省が「食事バランスガイド」を作成。果物については1日当たり200〜300グラム食べることを推奨している。

0