iPS細胞で生殖細胞禁止 文科省方針 再検討の余地も(朝日新聞)
京都大が作製した万能細胞(iPS細胞)から精子や卵子などの生殖細胞を作る研究は当面禁止する方針を文部科学省が固めた。iPS細胞研究が加速する中、倫理問題をはらむ研究には早期に歯止めをかける必要があると判断した。1日に開く科学技術・学術審議会の生命倫理・安全部会で正式決定する見込みだ。
iPS細胞や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から展開が考えられる生殖系の研究には(1)精子や卵子を作る(2)作った精子や卵子を受精させる(3)受精させた胚を子宮などに戻す、などの段階がある。研究が先行していたES細胞では、現在(1)からすべて禁止している。
文科省は、iPS細胞はES細胞のように受精卵を壊すことはないが、当面はES細胞と対応をそろえるのが妥当と判断した。ただ、ES細胞では、「精子や卵子を作って受精させることや、受精能力があるかどうかを調べることまでは認めてもいいのではないか」との「一部解禁」が論議されている。結論が出れば、iPS細胞の規制も見直すことになる。
iPS細胞からの生殖細胞作製については、一人の体細胞から精子と卵子を作れば事実上のクローン人間ができる可能性があるとして、倫理的な規制を求める声がある一方、不妊症の原因解明などにつながるとして期待も寄せられている。

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