学外疑塾1周年セミナーに向けての塾頭メッセージ(その4)
日本の社会学・経済学の巨人・高田保馬教授がたしか旧制浪速高等学校時代の後のはなしである。そして、日本を代表する経済学者の一人となった森嶋通夫教授がまた高校生の頃のはなしである。このはなしは森嶋教授の回顧録にあったように記憶する。森嶋氏が高田教授に呼び止められ、「森嶋君は将来に何になるのか」と問われた。森嶋氏は「高校の教師になりたいと思っています」と答えた。
高田教授は、「そうですか。きみだったらきっと日本一の教員になれるでしょう」と言ったという。自惚れの強い森嶋氏はきっと頭脳明晰な自分だからと思ったという。すかさず、高田教授は「森嶋君、勘違いしとる。ぼくが君が日本一となるといったのは、みんなが学校を卒業すると勉強をやめるからだ。僕の歳になるまで一生懸命勉強を続けなさい」。
そのとおりではないか。学外疑塾の目的はここらあたりにもある。社会人で本当に本をきっちり読み、天下国家を論じる人の少なさよ。塾生諸君、ほとんどが経済学部「卒」とはいえ、経済学をいまも勉強していますか?学生時代の付け焼刃の経済学の勉強はほとんど役に立たないでしょう。いま、経済学の勉強をやっていますか。

0