学外疑塾1周年記念によせて(その6)
小学生や就職試験の時に、「尊敬する人は誰ですか?」と聞かれたことはないでしょうか。このときに、塾頭の答えは「ウータント」でした。
ほとんどの人は国連事務総長のアナン氏の名前を知っていても、ビルマ(ミャンマー)人で戦後の大変な時期を国連事務総長として活躍したこの人を知る人は少ないのではないでしょか。
ヤンガウン(ラングーン)大学の時に、ビルマ独立運動をしたことから退学処分となり、やむなくウータントは故郷に帰り代用教員をやっていました。やがて、英国からの独立を達成してビルマ首相となったのは、ウータントと独立運動をしてともに退学となった同級生でした。彼はこの同級生を故郷から呼び戻しビルマの国連大使に就任させました。
この後、ウータントはビルマを代表した一国連大使から国連事務総長となりました。元を正せば一回の田舎の高校教師であったにもかかわらず、ウータントは獅子奮迅の働きをしました。なぜでしょうか。それは彼は勉強し続けていたからです。彼は田舎の教師とはいえ、その学識はたゆまぬその学習によって常に高められておりました。彼は50歳近くになって始めて世界に出ました。彼はいわば国内的国際派となったのです。
いま、日本だけでなく、その他の国の高校教師が、50歳近くになり、数年間、国連大使をやり、その数年後に国連事務総長を務められるだけの語学力、人格、タフな交渉力、理想、そして世界平和の哲学をもっている人たちがどれだけいるでしょうか。ウータントは生涯教育の実践家だったといえるでしょう。と同時に、彼は学外疑塾の実践家でもありました。ここにも生涯教育の何かをかんがえさせてくれるヒントがあります。
イギリス人によって書かれたウータント伝があります。一読を勧めます。

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