中国本土から初上場、1年半足らずで上場廃止へ(朝日新聞)
東京証券取引所は19日、経営トップの不正な資金借り入れが発覚したアジア・メディア・カンパニー・リミテッド(東証マザーズ)の株式を20日から整理銘柄に割り当て、9月20日付で上場廃止にすると発表した。アジア・メディアは昨春、中国本土企業として日本に初めて上場した。「アジアの中核市場」を目指して海外企業の上場に力を入れる東証には痛手だ。
アジア・メディアは今年6月、前最高経営責任者(CEO)が独断で子会社の預金を担保にローンを借り入れていた問題が発覚し、預金回収の見込みが立っていない。これをきっかけに、監査法人が07年12月期の財務諸表に監査意見を表明しない異例の状態になっていた。東証は、投資家への情報提供が不十分で「影響が重大」と判断し、上場廃止を決めた。
アジア・メディアが鳴り物入りで上場したのは07年4月下旬で、1年半足らずで廃止になる。上場審査にあたった東証の責任について、河野秀喜上場部長は「代表役員にも面談を行い、手続きは踏んだ。審査に問題はなかった」と説明しているが、「投資家の信頼回復は容易ではない」(証券関係者)との指摘も出ている。東証は今後、中国の監督当局などと連携し、企業情報の収集力を強化する体制づくりを検討するという。東証上場の外国企業は、バブル崩壊直後の91年には欧米企業を中心に127社あったが、売買低迷などから上場廃止が相次ぎ、現在は22社に減っている。

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