トヨタ、新興国向け低価格車開発 50万円程度(朝日新聞)
トヨタ自動車が新興国向けの低価格車を新たに開発していることが、28日分かった。子会社のダイハツ工業と共同開発中。価格は50万円程度を目指す。10年代前半にもインドなどに投入する考えだ。先行するスズキや現地メーカーに対抗し、人口10億人の巨大市場でシェア拡大をねらう。
低価格車は「トヨタ」、高級車の「レクサス」、米国の若者向け「サイオン」に続く、第4のブランドで販売する案が浮上している。生産はインド国内に今後つくる工場が有力だ。ブラジルでの販売も検討されている。
インド市場では、スズキが約5割のシェアを持つ。量販帯の「アルト」は50万円前後だ。現地のタタ・モーターズは、約20万円の超低価格車「ナノ」の発売を予定。日産自動車や韓国の現代自動車も、超低価格車の開発を表明している。
一方、トヨタの07年の同市場でのシェアは2.7%にとどまる。すでに10年後半の発売を目指して開発中の低価格車「エントリー・ファミリー・カー」は約80万円と割高になる見通しで、シェア拡大にはもう一段の安い車が必要となった。軽自動車を得意とするダイハツ中心に開発する。
世界的な景気減速の中で、先進国での販売は急速に悪化し、回復も不透明な情勢だ。一方、インドやブラジルなど新興国は、人口に比べて自動車市場は小さく、成長余地が先進国より格段に大きい。世界の自動車メーカーは新興国でのシェア獲得にしのぎを削っており、トヨタも大衆車として普及が見込める低価格車の開発を迫られた。

0