日立、7000億円の赤字 NECは2900億円(朝日新聞)
日立製作所とNECは30日、それぞれ09年3月期の連結業績見通しを下方修正し、純損益が赤字に転落すると発表した。赤字額は日立が7千億円と過去最大で、NECは2900億円で2番目。日立はグループの正社員・非正社員7千人の配置転換や削減に乗り出す。NECは1万人強の削減に加えて協力企業への業務委託を打ち切り、人件費で「2万人超の削減」を打ち出した。
日立の純損益は、これまでの150億円の黒字見通しから7千億円の赤字に転落する。ITバブル崩壊に伴う半導体不況に直撃された02年3月期の4838億円を上回り、過去最大の赤字となる。世界的な景気悪化の影響で主力事業の収益が軒並み悪化し、リストラ費用の計上などが損失を膨らませる。
純損益の赤字額は、金融機関を除くと、02年3月期にNTTが計上した8121億円に次いで2番目の大きさという。日立は不振の自動車機器、薄型テレビなどデジタルメディアの両事業を中心にして、正社員や派遣社員ら7千人を対象に、09年度に配置転換や希望退職などの人員削減に乗り出す。
売上高予想は昨年10月末時点の10兆9千億円から8800億円減の10兆200億円に下方修正。本業の収益を示す営業利益予想も4100億円から400億円へ引き下げた。自動車やデジタル家電向けの売り上げが大きい半導体関連会社の業績悪化だけで1400億円の営業赤字を見込んだ。
さらに、売り上げの約10%を占める自動車関連事業やデジタルメディア事業などで国内外の拠点統廃合を進める結果、1500億円のリストラ関連費用を想定。将来の収益を見込んで計上していた繰り延べ税金資産の取り崩しを迫られ、2500億円の評価損を計上する見通しだ。
NECは純損益を150億円と予想していたが、2900億円の赤字に陥る。半導体事業やパソコン、携帯電話の販売が不振だった。09年度末までにグループで正社員1万人弱、非正社員1千人余を減らすほか、グループ外の協力企業への業務委託を一部打ち切る。打ち切る業務は委託先の人件費でみて8千人分超に相当し、これを合わせてNECは「2万人超の削減」と説明している。
電子部品子会社のNECトーキンと半導体子会社のNECエレクトロニクスの2社の業績が急激に悪化。人員削減はこの2社が中心で、NECトーキンが国内外で正社員9450人を、NECエレは生産ラインの派遣社員1200人の削減を既に発表済みだ。30日には、NEC本体などが外部に委託してきたソフトウエア設計などの業務を社内でこなすよう改めると発表。このリストラ効果が「8千人超の削減」に相当するという。
純損益の赤字額は02年3月期に次ぐ。日本電気硝子などグループ会社の株価の低迷で、評価損が1400億円に膨らんだことも響いた。業績予想の修正では、売上高を前期比9%減の4兆2千億円に、営業損益は300億円の赤字(前期は1568億円の黒字)に改めた。期末配当は無配とする。

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