富士通、台湾メーカーと協力し半導体強化 製品絞り込み(朝日新聞)
富士通の半導体事業会社、富士通マイクロエレクトロニクスは27日、11年度に過去最高となる150億円以上の営業利益を目指すことを柱にした事業戦略を発表した。台湾メーカーとの協業を強化して開発投資を抑えるとともに、製品も成長分野に絞り込んで競争力を高め、シェア拡大を目指す。
富士通マイクロエレクトロニクスは、AV機器や自動車などの頭脳として使われるシステムLSI(大規模集積回路)を手がけている。
現時点で最先端となる回路の線幅が40ナノメートル(ナノは10億分の1)の製品については、台湾の半導体大手、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)に製造を委託する方針を示していた。この日は次世代の28ナノメートルの製品についてもTSMCと共同開発し、製造を同社に委託する方針を表明。巨額の設備投資を避けながら、回路の微細化を進める考えを示した。
開発面では、現在20ある主要製品のうち、自動車、携帯電話、パソコン向けなど成長性と競争力のある14製品に集中し、残る6製品は新規開発を凍結。関連する400人のエンジニアは再配置する。一方、電気自動車などに使う電源用半導体の開発に乗り出し、15年度には300億円規模の事業に育てたい考えも明らかにした。
システムLSI分野では、ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが経営統合を決めるなど、競争環境が激化している。富士通は半導体事業を国内他社と将来統合させる可能性に含みをもたせているものの、「まずは自力で利益の出せる会社にすることが最重要だ」(富士通マイクロエレクトロニクスの岡田晴基社長)と強調している。

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