天下り「指定席」194法人に8700億円 08年度(朝日新聞)
「理事長」や「専務理事」など、官僚OBが過去5代以上にわたって同一の役員ポストを占めてきた独立行政法人や公益法人など194法人に対して08年度、国から補助金や交付金など約8700億円が支出されていたことが21日、わかった。これらの法人のうち41団体については、来年度予算の概算要求でも計5112億円の支出が盛り込まれている。
各省庁の資料によると、官僚OBが5代以上連続で同じポストを独占し、実質的に天下りの「指定席」となっている役員ポストを抱えているのは、独法11団体、特別法に基づく「特別民間法人」3団体、公益法人323団体の計337団体。このうち、08年度に国から補助金や交付金などを受けていたのは6割弱の194団体だった。
補助金や交付金など計8698億円のうち、「農畜産業振興機構」など11の独法に計5820億円、「社会保険診療報酬支払基金」など三つの特別民間法人に計273億円、180の公益法人に計2605億円がわたっていた。
所管省庁別では、国土交通省が79団体(独法4団体、公益法人75団体)と最多で、支出額は計3165億円。農林水産省が55団体(独法2団体、公益法人53団体)と2番目に多く、支出額は計3435億円と最高だった。厚生労働省は26団体(独法1団体、特別民間法人3団体、公益法人22団体)、計936億円で、団体数・支出額とも3番目に多かった。
このうち41団体については、鳩山政権下で組み直した来年度の概算要求でも計5112億円(前年度予算比740億円減)が支出先として予算計上されている。独法11団体に計4680億円、特別民間法人3団体に計74億円、公益法人27団体に計358億円となっている。さらに、入札対象事業の受注が見込まれるため、実際の支出額はさらに膨らむとみられる。
これらの中には、前政権の補正予算で「天下り法人」への多額の支出として批判を浴びた厚生労働省所管の特別民間法人「中央職業能力開発協会」(概算要求20億円)や、行政刷新会議の事業仕分けで「予算計上見送り」とされた国交省所管の独法「都市再生機構」(同902億円)なども含まれている。
鳩山政権は来年度予算編成に向け、独法や公益法人への支出や基金の見直しを打ち出している。この問題に取り組む民主党の柚木(ゆのき)道義衆院議員は「官僚OBが5代以上続けて再就職している法人は天下りの最たるものであり、支出の妥当性について検証すべきだ。税金で天下りを支えることは許されない」としている。

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