支援策幕引き図る日銀、延長求める政府 10月会合議事(朝日新聞)
緊急の企業金融支援措置の打ち切りを検討する日本銀行に対し、デフレへの日銀の対応をただす政府。日銀が26日公表した10月30日の金融政策決定会合の議事要旨では、両者の緊迫したやりとりが明らかになった。日銀は一部措置の延長を決めたが、政府内では不満がくすぶり、その後の「デフレ宣言」で日銀に政策協調を求める動きにつながっている。
「長期間にわたって物価上昇率がマイナスになると見込まれる中、日銀がどのように取り組むのか明確なスタンスをお示し頂きたい」。財務省から出席した野田佳彦副大臣は、こうただした。2011年度まで物価が3年連続で前年度比マイナスになるとの日銀の経済・物価見通しに触れ、「時限措置の取り扱いの判断と、経済・物価動向の慎重な見通しとの整合性について分かりやすくご説明頂きたい」と発言。打ち切りに動く日銀を牽制(けんせい)した。
さらに野田氏は支援措置のうち、金融機関に年0.1%の低金利で無制限に資金を供給する「企業金融支援特別オペレーション(特別オペ)」について、「年度末の資金繰りへの配慮のほか、十分な資金供給の必要性に配意してご検討頂きたい」と主張。日銀内では会合の数日前まで特別オペの年内打ち切りに傾いていたが、延長を求める姿勢を明確にした。
結局、会合では社債やコマーシャルペーパーの買い切り措置は年内の打ち切りを決めたが、特別オペについては来年3月末まで延長したうえで打ち切ることを政策委員8人の全員一致で決めた。会合後、政府からは「日銀は相変わらず眠り病にかかっている」(亀井静香金融相)など不満が相次ぐ。政府は今月20日、3年5カ月ぶりにデフレを宣言したが、菅直人副総理は「出口戦略を考えるのはまだ早い。これは日銀へのメッセージでもある」と述べている。
新政権と日銀の足並みはまだ十分にそろっていない。議事要旨によると、内閣府の津村啓介政務官が「政府と日銀との協議の場を設けることを提案したい」と述べ、白川総裁も「政府との意思疎通は従来行っているが、十分に意見交換を行っていきたい」と応じた。だが、亀井金融相の出席をめぐって意見が折り合わず、日程は固まっていない。

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