東証9000円割れ寸前 「ドバイ・ショック」で大荒れ(朝日新聞)
27日の東京株式市場では、日経平均株価が9000円の大台を割る寸前まで急落した。一時1ドル=84円台に達した急激な円高のためだ。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国系企業の信用不安を震源に、世界の市場が再び不安定になる懸念もある。日本政府も対応を検討する姿勢を見せ始めた。
東京株式市場では、輸出関連企業の業績が悪くなるとの見方から、日経平均の終値が前日比301円72銭(3.22%)安い9081円52銭と、約4カ月半ぶりの安値になった。東証1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)も同18.55ポイント(2.24%)低い811.01で、約8カ月ぶりの低さだった。
ニューヨーク市場も売りが先行。祝日前の25日に比べ、ダウ工業株平均の値下がり幅は一時、230ドル(2%)を超えた。原油相場も一時、1カ月半ぶりの安値をつけた。外国為替市場では、円がドルだけでなくユーロ、ポンドなどに対しても買われる「独歩高」の様相が強まった。東京市場では27日朝に一時1ドル=84円台、1ユーロ=126円台まで急騰。藤井裕久財務相が市場介入をちらつかせたため上げ幅は縮み、日本時間夜のニューヨーク市場では1ドル=86円台後半、1ユーロ=130円前後で取引されている。
円急騰の引き金は、ドバイ政府系企業「ドバイ・ワールド」の信用不安だ。中東への貸し出しが多い欧州の金融機関に懸念が強まり、ユーロが売られた。鳩山由紀夫首相は27日、記者団に「円高によって輸出産業が相当の打撃を受けることが予測され、補正予算を含めて経済対策を検討する必要がある」と述べた。
ドルに対する円高の背景には、米国の低金利政策が長期化するとの観測がある。日本でもさらに金融緩和を進め、通貨供給を増やせば円の価値の下落(円安)につながるとの指摘もあり、政府が日本銀行に対応を強く求める可能性もある。菅直人副総理は27日夜のテレビ朝日の番組で「日銀もデフレを認識し、打つ手も分かっている」と述べ、「金融(政策)も頑張ってもらわないといけない」と追加緩和への期待をにじませた。

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