「公益法人なのか、組織存続維持ためだけの私益法人なのか?」
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公益法人、余剰金隠しか 検査院指摘後、基金に9割移す(朝日新聞)
文部科学省所管の財団法人日本語教育振興協会(東京・渋谷)が、2007年に会計検査院から指摘を受けた約2億円の内部留保額を下げる目的で、四つの基金を立ち上げ、留保額の9割近くをその基金に移していたことが朝日新聞の調べでわかった。基金の創設については文科省も認めていた。これまでに基金の支出はなく、基金を隠れみのにした内部留保隠しの疑いがある。
内部留保は、総資産額から基金や固定資産などを引いた額で、企業の余剰金に当たる。財団など公益法人は営利を目的としないことから、国が内部留保の比率を年間支出の30%以下に抑えるべきだとの基準を定めている。しかし、協会は07年の会計検査院の調べを受け、147%の留保率があったと指摘された。協会は指摘後に基金を立ち上げていた。
内部留保は「埋蔵金」として国の財源に使える可能性があるが、協会は来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」には取り上げられていない。協会関係者によると、協会は日本国内の日本語学校の新設や定員改正の際に教員数や校舎の面積が基準を満たしているかどうかの審査や認定などを行う団体。1989年に設立された。同省(当時・文部省)や法務省の補助事業として補助金が支出(法務省は97年度まで)されていた。協会の理事長ら幹部に文科・法務OBなどが就いている。
協会は経費を各学校からの審査料や文科省からの補助金でまかなっているほか、各校が納める会費も充てている。各校からの入会金や審査料、更新料、会費などの収入は08年度で1億円以上ある。検査院は07年に協会を調べ、審査料収入により黒字だった審査事業などに文科省から毎年4千万円ほどの補助金が出ていたことから、07年度までの5年間で計約5千万円の補助金支出が無駄であったと指摘。内部留保額が約2億円あり、多すぎることも指摘した。
協会は指摘後に07年度分の補助金のうち約800万円だけを同省に返還。「学生支援積立金」や「情報システム整備積立金」など4基金を設立し、各基金に内部留保額の9割近くの計約1億7千万円を繰り入れていた。協会によると、これまで基金の支出はなく、来年度も未定だという。
協会は「内部留保は各校の会費が累積したものだ。基金は必要なので設立した。補助金も自主的に1年度分だけ返した。文科省のアドバイスを受けている」と説明する。一方、同省は「協会から自己収入で基金を立てるとの申し出があったので設立を認めた」と話した。検査院はこうした事実を把握しており、「検査の継続を検討したい」としている。
北沢栄・元東北公益文科大大学院教授(公益学)は「内部留保を隠す目的で基金にしたとみられる。公益事業で過剰な内部留保がたまることもおかしい。検査院は余った金を国に返すように指摘すべきだ」としている。

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