独で女性襲撃多発、難民への反感強まる メルケル氏窮地(朝日新聞)
難民受け入れに積極的なドイツのメルケル首相が新年早々、窮地に立たされている。西部ケルンで昨年の大みそかに女性への強盗や暴行が多発し、容疑者の中にアフリカや中東からの難民申請者が多く含まれていたことが判明。難民に対する国民感情は悪化し、受け入れ反対派が勢いを増す。「ケルンで大みそかに起きた事件は、忌まわしい犯罪であり、断固とした対応が求められる」メルケル氏は9日、独西部マインツで会見し、強い口調でこう語った。
事件は昨年12月31日の深夜から元日の未明にかけて、ゴシック建築が美しいケルン大聖堂が見下ろす中央駅周辺で起きた。年越しを祝う群衆にまぎれ、男らが集団で通行人の女性を取り囲み、痴漢行為や暴行に及んだり、財布やハンドバッグなどを奪ったりしたという。地元警察は9日、女性からの被害届が379件に達しており、窃盗や傷害のほかに、女性への痴漢行為や暴行に関する届け出も約4割に上ると明らかにした。
内務省は8日、確認できた容疑者は32人で、うち22人が難民申請者だったと発表。容疑者には、少人数のドイツ人や米国人も含まれているが、大半はアルジェリアやモロッコ、イラン、シリアなど中東や北アフリカの出身者で、捜査対象の76件中12件が性的犯罪の容疑という。独有力誌シュピーゲルによると、難民保護施設などから盗品の携帯電話も見つかったという。
また、大みそかの夜にはケルンだけでなく、北部ハンブルクや南部シュツットガルトでも同様の事件が起きていた。一連の事件は突発的ではなく、年越しの集まりを狙った計画的な犯行との見方も出ているが、全容は解明されていない。

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