日本の金融市場(BL)
「ヘリコプター・ベン」の異名を取るベン・バーナンキ氏の来日をきっかけに、政府の財政支出を中央銀行が紙幣増刷で賄うヘリコプターマネーへの市場の関心が集まっている。デフレからの完全脱却を目指す安倍晋三首相や黒田東彦日本銀行総裁はどう動くのか−。
参院選に勝利した安倍首相がアベノミクスの加速に向けて大規模な経済対策を打ち出すことを表明した今週、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長は首相や黒田総裁らと相次ぎ会談。一部の市場関係者からは早くもヘリコプターマネー効果の皮算用が飛び出し、円高・株安が一服した。しかし、梅雨空の合間から今にも一万円札が降ってくると期待するのは適切ではなさそうだ。
バーナンキ氏は首相に対し、日本は財政出動で名目国内総生産(GDP)を増やすのと協調して金融緩和すべきだと進言したと、菅義偉官房長官は12日の記者会見で説明。この会談でヘリコプターマネーに「特段の言及があったとは承知していない」と述べた。13日付の産経新聞朝刊は政府が財政出動に向けて日銀資金を用いる検討をしていると報じたが、菅長官は、検討の事実はないと重ねて否定した。
ドイツ証券の山田能伸アナリストは、ヘリコプターマネー実施なら銀行株が大きな恩恵を受けると試算する。一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券や大和証券はヘリコプターマネーどころか、大規模な経済対策にもかかわらず、国債の市中発行は増えないと分析。国内投資家がプラス利回りの投資先を奪い合う状況は変わらないとみる。

0