博多からキャナルを街歩き、はかた駅前通りの歩道拡幅(産経)
福岡市は19日、JR博多駅前から天神方面に向かう市道「はかた駅前通り」の車線を、現在の4車線(右折車線を除く)から2車線に減らし、歩道を拡幅すると発表した。博多駅から商業施設キャナルシティ博多まで、歩いて楽しい街並みとすることで、都市の回遊性を高める。(九州総局 高瀬真由子)
博多駅の博多口から祇園町西交差点までの約800メートルが対象となる。祇園町西交差点は、市中心を東西に走る「国体道路」と交わる地点にある。現在は車道が幅16メートル、歩道が左右合わせて11メートルある。これを、車道の幅12・5メートル、歩道幅14・5メートルとする。車道のうち3メートルは自転車専用レーンとする。
歩道に面したビルや企業とも協力して、カフェやベンチによる快適でにぎわいのある空間を創出する。市は、車線減少による交通渋滞も、大きな問題にはならないと分析する。市の調査によると、国体道路の交通量が12時間あたり約2万台に対し、はかた駅前通りは約9千台だという。工事は国土交通省の補助事業として実施し、費用は国と市が折半する。今月27日に着工し、平成28年度は4億円をかけて200メートルを整備する。残りは、地下鉄七隈線の延伸工事が完了する平成32年度までに行う。福岡市は「車中心から人が主役への転換」を掲げ、すでに博多と天神、博多港周辺「ウオーターフロント」の回遊性向上への取り組みを進めている。
街の顔である中心部で、歩道を拡幅する計画は、他都市でも例がある。祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行がある京都市のメインストリート「四条通」では歩道の混雑を緩和しようと、昨年10月までに車道を4車線から2車線にし、歩道を拡幅した。合わせて車の迂回(うかい)を誘導する看板を設置し、渋滞緩和に努めた。大分市は、JR大分駅から伸びる「中央通り」の片側3車線の一方を2車線にし、歩道を広げてイベントスペースを設置する計画を立てた。しかし、試験的に工事を実施したところ、地元住民や有識者で構成する検証委員会から「メリットはなかった」と指摘され、計画を白紙に戻した。
街の“模様替え”には、住民の理解や地元企業の協力が欠かせない。はかた駅前通りの歩道拡幅について福岡市は、JR九州など周辺企業でつくる「博多まちづくり推進協議会」と意見交換し、「中長期的な視野に立ち、世界に先駆けるチャレンジをしよう」と呼びかけているという。記者会見で高島宗一郎市長は「歩いて楽しい空間をつくることが世界の都市でも重要なテーマとなっている。魅力を拡大するチャレンジをしたい」と述べた。

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