微生物:寒暖差が大きいモンゴルで探索 日本の研究機関(毎日新聞)
医薬品開発などにつながる有用な遺伝子を持った微生物探しを、独立行政法人・製品評価技術基盤機構が今月末からモンゴルで始める。モンゴルは寒暖の差が大きく、厳しい環境に適応するためにユニークな能力を備えた微生物がいると期待されている。日本の研究機関が、モンゴルのような気候変化が激しい国で、本格的に微生物探しをするのは初めてという。
機構は今年6月、モンゴル科学院と覚書を交わし、共同研究を約束した。モンゴル西部の、ロシア国境に近いウブス県で探索を始める。県内には砂漠や高山、草原地帯などがあり、夏の気温は暑いところで40度以上、冬は寒いところで氷点下50度以下になる。
高山や塩湖、砂漠など、厳しい環境を選んで微生物を採取する。医薬品や健康食品作りに活用できる微生物や、有害物質を分解し環境浄化に役立つ微生物などを探す。見つけた微生物は企業を含めた共同研究者に提供し、産業利用を目指す。
微生物探しでは従来、熱帯や亜熱帯が注目されてきた。熱帯は動植物の種類が豊富なため、微生物も多様だと考えられたからだ。しかし常に高温多湿な熱帯に比べ、気候変化が激しい地域には、全く別の微生物がいる可能性があるという。
機構バイオテクノロジー本部の安藤勝彦・資源開発課長は「水温が低くてもよく働く洗剤用の酵素など、モンゴルならではの遺伝子を持つ微生物が発見できるかもしれない」と話している。【大場あい】毎日新聞 2006年7月22日 10時45分

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